そこで判明したのは予想外の事実だった。シドニー大のローラ・ドリーセンは「このFRBの母銀河は驚くほど小型で、金属(重元素)量が少なく、星形成が非常に活発な段階にある」と説明した。これらの特徴は、FRBの発生メカニズムを解明するうえで重要な手がかりとなるかもしれない。
マグネターが関与している可能性
高速電波バースト(FRB)の発生原因は、まだ明確に解明されていない。大質量星が超新星爆発を起こすと、高速で自転する高密度の残骸である中性子星が後に残る。少なくとも一部のFRBは、中性子星の一種であるマグネターが発生源ではないかと、天文学者は考えている。マグネターは極端に強い磁場を持つ特殊な中性子星で、超高速で自転することにより宇宙で最も強い磁場を生成する。
新たに特定された母銀河では、多数の新しい恒星が生み出されているため、マグネターが形成され得るような環境になっている。FRBの成因としては、はるかに長い時間を要する中性子星同士の合体によって発生するとの説もある。だが母銀河の特徴を踏まえると、今回の発見は中性子星合体説よりもマグネター説との整合性が高くなっている。
今回の発見は、信号の地球到達に約80億年を要したFRB 20220610Aが2023年に打ち立てた最遠記録を更新するものだ。FRB 20220610Aの持続時間は1ミリ秒足らずだったが、その瞬間に放出されたエネルギーは、太陽の全放射エネルギー30年分に匹敵する。


