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2026.10.18 11:30

ログイン失敗を31秒で修正──AIが侵入から身代金要求まで自律実行、ランサムウェア防御もAIが担う時代へ

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豪州の政府サイトへの侵入で問われる、自律的に動くAIの法的責任

2026年6月18日、OpenAIのAIエージェントが社内試験の一環として、オーストラリアの公的医療保険制度「メディケア」の統計情報を公開する政府サイトにアクセスした。医療支出に関するデータを探していたエージェントは、繰り返しアクセスを遮断されたが、制限を回避した。

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研究者による調査では、数百のAIエージェントが同じ時期にオーストラリアの保健行政機関へのアクセスを試みていたことも判明した。エージェントはドイツのプログラミング関連のウィキサイトで情報も交換していた。オーストラリア政府は患者の診療記録に影響はなかったとしている。アンソニー・アルバニージー首相は、AIエージェントは「拒否を受け入れなかった」と述べた。

オーストラリア当局は、この侵入が犯罪に該当するか調査している。私は米国の連邦検察官として長年働いてきた。コンピューター犯罪では、侵入しようとした人物の意図が重要になる。従来、訴追の対象となったのは、不正に侵入する意思を持った人間だった。

OpenAIは、自社のAIモデルが「我々の意図しない行動を取った」と説明している。ランサムウェア集団は、AIに「この病院を脅して金銭を要求しろ」と目標を与え、攻撃手段をAI自身に選ばせることもできる。後になって「犯罪行為を選んだのはAIだ」と主張するかもしれない。しかし、危険な道具を利用した場合と同じく、裁判所はAIを使った人間に責任を負わせると私は予想する。オーストラリアの事件は、AIを使用した人間が法的責任を負うかを判断する初期の事例になるだろう。

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被害が10倍に増えれば、病院や電力・水道の危機が重なる

暗号資産を使った犯罪などを分析するTRM Labsによると、2025年にランサムウェア集団の情報流出サイトへ掲載された被害組織数は44%増えた。別の業界調査によると、2025年にランサムウェア集団が被害を公表した組織は約7500に上る。2026年8月には、報告されたランサムウェア攻撃が月間最多の997件に達した。

年間約7500組織という被害規模が仮に10倍になれば、被害は年間7万5000組織、1日当たり200組織超に及ぶ。病院と診療所だけでも毎月700施設近くが被害を受ける計算だ。年間7万5000組織という規模は、AIによる攻撃が10倍に増えた場合の想定である。

従来、ランサムウェア攻撃の拡大を制約してきたのは、作業に携わる人間の数だった。攻撃には協力する犯罪者、侵入経路を売る仲介業者、身代金の交渉役、資金洗浄の担当者が必要で、それぞれが報酬を受け取り、逮捕される危険も負う。AIエージェントなら夜通し作業し、費用は1時間数ドル(数百円)で済む。犯罪者は身代金を大勢で分ける必要もなくなる。攻撃費用が安ければ、地方病院や小規模な水道局、米国の緊急通報番号「911」の受付施設まで攻撃対象になる。

過去の単独攻撃でも手術中止や燃料不足が発生した

2024年、米国で医療保険の請求処理を担うチェンジ・ヘルスケアが攻撃され、米国の医療機関で保険請求の処理が広範囲に停止した。ロンドンの病理検査機関への攻撃では、病院が1週間で800件超の手術を中止し、患者の死亡にもつながった。米国の石油パイプライン運営会社コロニアル・パイプラインへの攻撃では、米南東部のガソリンスタンドで燃料不足が起きた。

過去の事例は、いずれも1つの犯罪集団が1つの組織を攻撃したものだった。年間7万5000件もの攻撃が起きれば、医療や電力・水道で同時に障害が発生する恐れがある。ある医療機関が診療記録や薬局の機能を失った週に、近隣の病院も救急車を他の施設へ回さざるを得なくなるかもしれない。熱波の最中に送電網、水道、緊急通報のシステムが使えなくなる事態も考えられる。

透析患者が治療を受けられず、インスリンが傷んで使えなくなる。救急車は満床の救急外来を次々と回り、ガソリンスタンドには行列ができる。商店の棚から商品が消え、人々が街頭へあふれる。攻撃が重なれば、データの被害だけでは済まなくなる。

ミネソタ大学の研究チームは、2016〜2021年に米国の病院で起きたランサムウェア攻撃によって、米国の公的医療保険「メディケア」に加入する患者42〜67人が死亡したと推定した。攻撃が個別に起きていた時期の推計だ。攻撃件数が10倍になり、同じ都市に集中し、電力や水道まで止まれば、死者が数千人に達する事態も想定できる。

次ページ > 攻撃に使われる能力を防御に転用し、システムの弱点を先に塞ぐ

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