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2026.10.17 18:00

スマホ、SNS、AIで「脳に化学的変化」が発生 危機的状況にある注意力を取り戻す方法

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3. 注意制御力の低下

研究によると、長期間にわたるデジタルマルチタスクに関連する脳の物理的変化の1つに、集中力や自制心、感情調整を担う前帯状皮質の萎縮がある。画面をスクロールしているときにメッセージを送る、動画を観ている最中にメールをチェックする、といったメディアの切り替えを頻繁に行う人は、前帯状皮質が小さい傾向にあるようだ。

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科学誌『プロス・ワン』に2014年に掲載された研究では、脳画像技術を用いて頻繁にマルチタスクをする人とそうではない人を比較した。その結果、感情調整や認知制御、持続的注意に不可欠な領域である前帯状皮質の灰白質の密度が、頻繁にマルチタスクをする人の方がそうでない人よりも低いことが判明した。

わかりやすく言うと、過度なメディアのマルチタスクによって脳の「注意制御センター」が弱まり、集中力を高めたり、注意散漫を抑えたり、感情をコントロールしたりすることが難しくなる可能性があるということだ。これらは全てサイバーセキュリティ分析や戦略立案、創造性に不可欠な能力だ。

行動データにも、同じような注意制御力の低下傾向が表れている。グロリア・マークの2023年の著書『Attention Span』では、米カリフォルニア大学アーバイン校の長期研究について詳述しているが、それによると、画面上での1つの作業に費やされる平均時間は2004年には約150秒だったが、2012年には75秒になり、2010年代後半〜2020年代初頭には47秒になった。中央値はさらに短く40秒であり、記録された画面への集中時間の半数は40秒以下だった。私たちは文字どおり、高度な思考を支える実行機能のネットワークを再構築しているのだ。

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AIという加速装置

スマホが人間の注意力の低下を招いたとすれば、生成AIが今、その低下を加速させている。私たちが目の当たりにしているのは「合成ドーパミン」の出現だ。これは、これまでにないほどの精度で脳の報酬回路を活性化することを目的に、アルゴリズムによって作り出された刺激だ。従来のデジタルコンテンツとは対称的に、生成システムは目新しさも刺激の強さも失われることのない、超パーソナライズされた無限の情報ストリームを生み出す。ユーザーの認知的な弱点をリアルタイムで学習し、エンゲージメントを生み出す脳内化学反応を最適化することで、人間が作り出すあらゆるものよりも魅力的なフィードを生成する。

生産性を向上させることができるこれらのモデルは、同時に「注意散漫」を産業規模で生み出し、ディープワークや戦略的判断、イノベーションに必要な神経系を損なう可能性もある。これは、私がForbesでAIのデュアルユースの性質について論じた内容でもある。アテンション・エコノミーは今、AIによって加速された「アテンション・エクストラクション・エコノミー」へと進化しており、それが神経系に及ぼす影響は現れ始めたばかりだ。

退屈することが皆無に

かつて退屈は神経学的なリセットとして機能していた。退屈している時間は認知活動が静まっている時間であり、その間に脳の「デフォルト・モード・ネットワーク」が活性化し、長期的な計画や創造的なひらめき、記憶の固定を促している。現在のデジタル世界では、そうした回復のための空白時間が事実上消えている。今では、脳に自然に生じる休止時間が、アルゴリズムによって最適化されたコンテンツやアラート、AIが生成する微細な刺激に取って代わられている。この侵食は生成AIによって加速している。生成AIはあらゆる摩擦を取り除き、パーソナライズされた無限のエンゲージメントをオンデマンドで生み出すことで、脳が完全に「オフ」になることを決して許さない。

これは単なるメンタルヘルスの問題ではなく、深刻化しつつある認知セキュリティの問題だ。悪意ある人物が、注意散漫や過剰な刺激、あるいは意図的に設計された情報の流れによって人の注意をそらすことができるのであれば、ネットワークに直接侵入する必要はない。オペレーターが損なわれる可能性がある。人間の判断力が組織や国家のレジリエンスに不可欠な時代において、「退屈の死」は戦略的な脆弱性だ。認知セキュリティの劣化は最も狙われている攻撃経路(ベクター)になりつつあり、その侵害は技術的な不正侵入と同等の影響をもたらす可能性がある。

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翻訳=溝口慈子

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