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2026.10.17 18:00

スマホ、SNS、AIで「脳に化学的変化」が発生 危機的状況にある注意力を取り戻す方法

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私は最近のForbesの記事でテクノロジーの融合について何度も取り上げ、人工知能(AI)や量子といった新興テクノロジーが私たちのインフラやセキュリティ、経済をどのように変えているかを論じてきた。だがテクノロジーと私たち自身の神経化学との融合は個人的なものであり、十分に語られていない。テクノロジーは単に私たちの注意を奪い合っているだけではない。注意を司る脳のシステムを変えつつある。

単に気を取られているというレベルを超えて、私たちの脳は乗っ取られつつある。私たちは化学的に変化しているのだ。注意力が持続しづらくなっている背景にあるのは、道徳的な欠陥や自制心の欠如ではない。注意力の危機は生物学的な結果として生じている。

人間の注意力は批判的思考や創造性、イノベーション、さらには建設的な民主的議論の基盤であり、これら全ての要素は重要だ。注意力が失われると、その上に築かれている全てのものが弱体化する。

スマホとSNS無限スクロールがつくる神経系

神経科学者が「変動報酬ループ」と呼ぶものが、全ての主要SNSとスマートフォンで展開されている製品・サービスの基盤になっている。SNSとスマホを支えるこのループは、心理学的にはスロットマシンに類似している。スワイプしたり通知が届くたびに微量のドーパミンが放出されるため、脳は次の報酬を絶えず探し続けるよう条件付けられる。生成AIは巧みに作られたコンテンツを絶え間なく私たちに提供することでこの効果をさらに強め、私たちの脳が常に検索やスクロールに反応するようにしている。

1. 期待から放出されるドーパミン

TikTokをスワイプしたり、Instagramをチェックしたり、LinkedInを更新したりすると、脳は神経伝達物質のドーパミンを放出する。何か報酬になるものを見つけたからではなく、報酬になるものを見つけられると期待しているからだ。書籍『Dopamine Nation』の著者で、米スタンフォード大学の精神科医であるアンナ・レンブケ博士によると、スマホはデジタルのドーパミンを絶えず送り込む「現代の注射針」だ。

さらに、振動音や通知音、アラートの一つひとつが小さなストレス反応を引き起こす。身体はノルアドレナリン(ノルエピネフリン)とコルチゾールという化学物質を1日に数十回、場合によっては数百回も放出する。その結果、興奮して何かに気を取られた状態が長時間続く。

苦痛と快楽のバランス、つまりデジタル上の報酬を得るたびに、その代償としてベースラインを下回る状態になるというのが『ドーパミン・ネーション』の主な考え方だ。脳が徐々にドーパミンの生成を制御しなくなる結果、ユーザーは不安やいら立ちをより強く感じるようになり、「平常心」を取り戻すためだけにまたスクロールしたい衝動に駆られる。

AIはこのプロセスを加速させた。以前Forbesに書いた記事「The Rapid Trajectory of Artificial Intelligence(人工知能の急速な進化)」で述べたように、私たちは基本的なアルゴリズムから、ユーザーの行動をリアルタイムでシミュレーションするエージェント型の予測システムへと進化させてきた。こうしたレコメンデーションエンジンはユーザーのドーパミン反応曲線を絶えず最適化することで、脳が常に何かを探し続ける状態にしている。

その結果として起こるのがドーパミン・スタッキングだ。素早く、ほとんど努力せずに得られる刺激を次々と重ねることで、刺激に対する耐性がつき麻痺していく。それとは対照的に、読書や意味のある会話の維持、難しい分析作業への集中といった日常的なタスクは、次第に刺激が乏しく感じられるようになる。

2. コルチゾールと常時警戒状態

技術の発展により、私たちの世界は常につながっている。スマホは絶えず通知音を発し、振動するという究極の「モノのインターネット(IoT)」センサーへと進化した。マイクロソフトの年次報告書「2025 Work Trend Index」によると、一般的なナレッジワーカーは1日に117通のメールと153件のTeamsメッセージを受け取っている。コアタイムには2分ごとに仕事が中断されており、8時間の勤務時間中では中断は約275回にのぼる。同報告書では「終わりなき勤務時間」の台頭が示されている。マイクロソフトのニュースリリース(スイス版)には「従業員の40%が午前6時前にメールを確認、夕方の会議は16%増加している」とある。

アラートが届くたびに「マイクロストレス反応」が引き起こされる。これはコルチゾールとノルアドレナリンが一時的に急上昇し、交感神経系を軽度の「闘争・逃走」状態に陥らせる反応だ。これが積み重なることで、常に注意を張り巡らせる状態が生まれる。脳が常に中断に備えていると、深く集中することが神経学的に難しくなる。

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翻訳=溝口慈子

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