資産運用

2026.10.19 13:30

AI半導体一強時代の終焉、NECを筆頭にプロが狙うAIユーザー企業

尾形優介|三井住友DSアセットマネジメント シニアファンドマネージャー

尾形優介|三井住友DSアセットマネジメント シニアファンドマネージャー

「国策に売りなし」という相場の格言がある。国の政策に連動する銘柄は株価が上がりやすいという意味だ。2026年ほど「国策」というキーワードが注目される年も珍しいだろう。「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗政権は、40年度までに重点17分野に官民で総額370兆円を投じる成長戦略を打ち出した。これに呼応して、政策に沿った銘柄を組み入れるアクティブ投信が相次いで登場している。なかでも存在感を示したのが、三井住友DSアセットマネジメントの「成長戦略フォーカス・ジャパン」だ。

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華々しい船出だった。5月29日に運用開始した同ファンドの当初設定額は487億円。26年上半期の日本株型新規設定ファンドでは1位を獲得した。しかし、3カ月がたった現在の基準価額は9,973円(8月末時点)と、設定来の1万円前後の推移に甘んじている。その背景を、ファンドマネージャーを務める尾形優介はこう話す。「単に国策に乗るだけのテーマ投信とは一線を画しているのです」。

尾形が追っているのは、政策のニュースで急騰するような銘柄ではない。目指しているのは、真の成長企業を見極めて持続的なリターンを積み上げることだ。「株価はPER(株価収益率)とEPS(一株当たり利益)のかけ算です。政権が戦略を打ち出し、補助金を出すなどのニュースで株価が上がる場合、その多くはPERの拡大によるもの。しかし、そうした上昇は一回限りの『ワンショット』に過ぎません。EPSが持続的に成長できる企業でなければ、持続的な株価の成長もありえない」。政策の追い風を受けて成長軌道に弾みがつき、自力でEPSを伸ばし続ける企業を見つけ出す。このグロース投資こそが、同ファンドの根幹にある運用スタイルだ。

具体的には、三井住友DSアセットマネジメントの旗艦ファンドで培われた3つの選定プロセスを三位一体で回している。ひとつ目は「中長期成長テーマ分析」。同社運用チームが20年以上にわたり更新し続けているタイムラインシートを用い、今後5年程度で起こりうる技術変化やイベントを時系列に整理する。「長年蓄積してきたこの分析シート自体が、当社の重要な資産」と尾形は話す。ここで特定した成長トレンドに対して、ふたつ目の「企業ポジショニング分析」で、どの企業がサプライチェーンのなかで競争優位なポジションにあるかを検証。そして3つ目の「個別銘柄リサーチ」を経て、初めて組み入れ銘柄が決まる。

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定量面で特に重視するのは今後の2期平均増益率と3期平均増収率だ。「過去のバックテストから、このふたつの指標で上位に位置する企業群が、明確に優位な株価パフォーマンスを示すことがわかっています」。これに経営者の質や事業ポートフォリオ、ビジネスモデルといった独自の定性評価をかけ合わせ、確信度を高めて初めて組み入れる。定量評価が良くても定性面が伴わなければ見送ることもある。

国策の中核である重点17分野についても、安直なテーマ投資はせず、今後2年ほどで実質的な業績としての恩恵が確認できるかを重視している。例えば、フュージョンエネルギー(核融合)のように実用化や収益化に時間を要する領域には、株価が急騰するような材料が出ても手を出さない。代わりに重点を置くのが、足元で確実な需要があるAI・半導体、防衛産業、航空・宇宙の3分野だ。

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文=眞鍋 武 写真=髙安晶子

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