形骸化を防ぐための保護と国際協定への期待
この報告書と同時に、国際目標30by30の進捗状況を検証した「30x30 Global Assessment」という報告書が発表された。世界自然保護基金(WWF)インターナショナル海洋部門シニアディレクターのパウリ・メリマンはオンライン記者会見のなかで、2030年までに陸と海の30%を保全する国際目標を達成する上で、決定的な領域の一つとなるのは海洋だと述べた。
さらに、現在保護区に指定されている海域は、昨年は8.6%だったものが10%になったことから、「着実に進展がみられる」と続けた。「今後は、ただハードルを引き上げるだけでなく、実施を加速することが課題となってくる」
「報告では海の10%が保護区に指定されているが、効果的に保護されている海域は3.5%にすぎない。つまり、書面と実際の現場のあいだには大きな隔たりがあるということだ」
メリマンは一方で、効果的な保護が可能であることを報告書は明らかにしていると述べた。特にインドネシアなどでは、地域社会による主導や、長期的な海洋管理、資金の確保によって、目標が成果につながっているという。
「各国政府はすぐに行動を起こし、公海の保護区として有望な海域を創設する上で必要な、科学的・制度的かつガバナンスの基盤を構築する必要がある。そして、はじめから確実な成果が得られるようにしなければならない」とメリマンは述べた。
米国のNPOである海洋保全研究所(Marine Conservation Institute)のランス・モーガン(Lance Morgan)会長は声明で、各国政府は自国が管理する海域での行動を加速させると同時に、国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定)が2026年1月に発効したことをうまく活用しなくてはならないと述べた。モーガン会長は現行の海洋保護区について、その大半では、いまだに効果的な保全が実現していないことも指摘している。
「この隔たりを埋めるためには、海洋に関する公約を実質的な保護へとつなげる必要がある。海域を効果的に保護するとともに、十分な資金を投じて破壊的な活動を阻止すれば、生物多様性と地域社会、経済は、そうした海域から永続的な恩恵を得られるだろう」とモーガン会長は述べた。
また、公海同盟(High Seas Alliance)のディレクター、レベッカ・ハバードは声明で、2026年1月に発効したBBNJ協定を履行することは、「進展を大きく加速させる」最大のチャンスだと述べた。しかし、ハバードは続けて、公海の海洋保護区が実現するのは、2027年1月に初開催されるBBNJ協定の第1回締約国会議(COP1)で、この目標に見合った規則、組織、プロセスが合意された場合に限られる、と述べている。
「各国政府はCOP1に向けて、条約を批准し、準備と行動意欲をもって臨み、十分な資金の供与を約束する必要がある。また、2030年を念頭に置き、海洋保護区案について合意を目指して協議できるよう、具体的な計画案とスケジュールを示す必要がある」とハバードは述べた。


