ここで、あなたの会社の話になる
2026年4月から、女性管理職比率と男女間賃金差異の公表義務が、従業員101人以上の企業に広がった。東証プライム上場企業は、2030年までに女性役員比率30%以上を目指すよう求められている。投資家も人権デューディリジェンス(人権DD:自社や取引先の人権への負の影響を特定し、防ぎ、説明する取り組み)を求め、そのものさしにはCEDAWも含まれる。
もう一つのものさしが、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」だ。原則18は、人権への影響を評価する際、「潜在的に影響を受けるグループやその他の関連ステークホルダーとの有意義な協議」を組み込むよう企業に求めている。その解説は、直接の協議が難しい場合には「信頼できる独立した専門家との協議など、適切な代替策を考えるべきである」と続く。声を聞けない相手がいるなら、聞く工夫を尽くせ、ということだ。
では、国はどうか。企業にはCEDAWを参照して平等を数値で説明させる一方、国家の制度ではその勧告に削除要求と抗議で応じた。当事者が語れない制度の改正で、参考人質疑は開かれなかった。そして憲法第1条の「国民の総意」は、正面から問われなかった。
皇室と企業を同列に論じるのか、と思う人もいるだろう。皇室と企業は同じではない。問いたいのは皇室の是非ではなく、同じ鏡に映る国の姿である。企業に課す基準を、国自身はどこまで引き受けているのか。忘れてはならないのは、天皇制が日本国憲法で定められた制度だということだ。
次に皇室ニュースを見るとき
改正法の附則は、30年ごとの見直しを予定している。30年後、いまの新入社員は経営の中枢にいる。そのとき、この国の平等の基準はどこまで一貫しているだろうか。そのときこそ「国民の総意」は、正面から問われるのだろうか。
次に皇室のニュースや、自社の統合報告書のジェンダー指標を目にしたとき、ひとつだけ問いを足してみてほしい。この基準は、誰から誰に課され、誰が例外とされているのか。そして、その例外は、誰の声を聞いて決められたのか。
(編集部注:表記は筆者の方針による)
【出典一覧】
法令
日本国憲法(第1〜4条、第14条、第24条、第98条):e-Gov法令検索 日本国憲法(2026年10月4日アクセス)/皇室典範(第1条、第10条、第11条、第23条):e-Gov法令検索 皇室典範(2026年10月4日アクセス)/民法(第798条):e-Gov法令検索 民法(2026年10月4日アクセス)
皇室典範等の一部を改正する法律(令和8年法律第66号、2026年7月24日公布):内閣官房 皇室典範等の一部を改正する法律本文 (PDF)(2026年10月4日アクセス)/同法律案要綱 内閣官房 法律案要綱 (PDF)(2026年10月4日アクセス)/同新旧対照条文 内閣官房 新旧対照条文 (PDF)(2026年10月4日アクセス)
皇室典範等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(衆議院議院運営委員会 2026年7月10日、参議院皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会 同年7月16日):内閣官房 附帯決議 (PDF)(2026年10月4日アクセス)
公職選挙法(昭和25年法律第100号)附則第2項・第3項:制定時の条文 衆議院 制定時公職選挙法(2026年10月4日アクセス)/現行条文 e-Gov法令検索 現行公職選挙法(2026年10月4日アクセス)
審議経過:衆議院 議案審議経過情報(2026年10月4日アクセス)/投票結果:参議院 本会議投票結果(2026年7月17日、賛成184・反対57)(2026年10月4日アクセス)
内閣官房 第11回「「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議」(2021年11月30日)資料2「事務局における制度的、歴史的観点等からの調査・研究」内閣官房 有識者会議資料2 (PDF)(2026年10月4日アクセス)


