OUSDは消費者に見えない形で、企業向けサービスの裏側に入る
OUSDが広く使われるようになっても、消費者がOUSDを名指しで求める可能性は低い。狙い通りに普及すれば、OUSDは決済、送金、カード残高、資金管理画面などの裏側で使われる。多くの買い物客が、オンライン購入をどの決済事業者が処理したか意識しないのと同じだ。
つまり、OUSDは消費者向けに名前を売るのではなく、企業向けサービスに組み込まれるブランドとして機能する。OUSDのブランド価値を意識するのは、開発者、最高財務責任者(CFO)、製品担当チームなどだ。Visa、Mastercard、ブラックロック、BNYといった提携先の名前も、OUSDへの信用につながる。単独の暗号資産発行企業なら何年もかけて築く必要がある信用を、OUSDは参加企業のブランドから得られる。「Open」という名称も、特定1社の製品ではなく、共同利用する基盤として位置づける役割を果たす。
国際送金・特典・電子商取引で利用が広がる可能性
企業にとって重要なのは、安く、速く、用途に応じて処理を設定できるデジタルドルが、支払いや報酬にかかるコストをどう変え得るかだ。想定される用途は大きく3つある。
従来の決済網を使ったクリエーター、アフィリエイト、フリーランスへの国際送金は、費用が高く時間もかかる。ロイヤルティーや特典制度では、ポイントの代わりにドル建てトークンで精算できる可能性がある。創設パートナーのShopifyのような電子商取引プラットフォームは、販売事業者と顧客を直接つなぐ位置にあり、OUSDを利用できる接点を持つ。いずれの用途も実現が保証されているわけではないが、技術面では以前より実用化に近づいた。
OUSDの普及は、参加企業が自社サービスにどこまで組み込むかに左右される
まだ分からない点もある。Open Standardは、4つのブロックチェーンにOUSDの供給量をどう配分するかを明らかにしていない。提供開始後に実際に流通するOUSDの量が、採用状況を示す最初の実質的な指標になる。
OUSDは参加企業の内部でも競争に直面する。各パートナーは複数のステーブルコインを支援すると表明しているため、自社サービスでどのステーブルコインを採用するかを選ぶことになる。市場全体でもUSDTとUSDCが合計で80%超を占めている。
オンライン上の反応からは、ステーブルコインを暗号資産業界だけの用途ではなく、より広い金融の仕組みとして捉える見方が広がり始めていることがうかがえる。あるエンジニアはLinkedInで、「ステーブルコインは暗号資産業界だけで使う用途を次第に越え、より広範な金融の仕組みの一部になりつつある」と書いた。
OUSDがこの変化を担えるかは、準備資産や対応するブロックチェーン以上に、参加企業が自社サービスへOUSDを組み込み、利用を広げるかに左右される。焦点は流通だ。Open Standardは、この流通の問題を解くことを中心に事業の仕組みを設計している。


