航空燃料の価格がわずか1カ月で15%急騰したことを受け、米国の航空各社は年末年始の運航便数を削減している。これに伴い、格安航空券が減ることが予想される。
英航空調査会社シリウムのデータによると、米航空各社は8月以降、感謝祭の前日に当たる11月25日から12月31日までの国内線の座席数を約3%削減している。旅行アプリを手がける米ホッパー・テクノロジーソリューションズ(HTS)によると、秋から年末にかけての航空運賃は10年ぶりの高値に達しており、感謝祭の米国内線往復運賃の平均は前年比31%上昇、クリスマス週の運賃は同23%上昇している。9月28日時点のジェット燃料の平均価格は1ガロン(約4リットル)4.40ドルで、2月下旬に米国がイランへの攻撃を開始して以降、76%高騰している。
イラン情勢の悪化を背景にジェット燃料価格が急騰したことを受け、米航空各社は成長見通しを軒並み下方修正している。9月中旬に開催された米金融大手モルガン・スタンレーの会議では、米航空各社の幹部らが、燃料価格の高騰が運航計画に影響を与えていることを認めた。サウスウエスト航空は当初、2026年の運航能力を前年比2~3%拡大する計画を立てていたが、同社のトム・ドクシー最高財務責任者(CFO)は会議の参加者に対し、この計画を半分程度に削減したと説明。燃料価格がこれほど高騰している状況では、運航能力の縮小は「当然の対応」だと述べ、理解を求めた。一方、ユナイテッド航空のマイケル・レスキネンCFOは「現在のように燃料価格が急騰すると、採算性の低い一部の路線は赤字に転落する」と指摘した。アメリカン航空のデボン・メーCFOも燃料価格の上昇を理由に、12月の運航計画を微調整する意向を明らかにした。
航空会社の便数の削減がたとえわずかだったとしても、特に出発日が近づくにつれ、航空運賃の上昇を招く可能性がある。シリウムのマイク・アーノットはフォーブスの取材に対し、「航空会社が便数を減らすと、市場に出回る座席数もそれに応じて減ることになる」と説明。搭乗日が近づくにつれて予約数は急増するため、旅行者が限られた座席を奪い合う状況が生じると指摘した。その上で、「便が満席に近づくと、たとえ需要の条件が変わらなくても、残りの座席の価格は高くなる傾向がある」と述べた。
米国の国内線運賃が上昇する一方で、国際線の運賃は下落している。カナダ東部モントリオールに拠点を置く旅行会社大手フライトハブのアンリ・シェロ最高経営責任者(CEO)は「今年は国内線と国際線の予約動向が対照的な動きを見せている」と語った。米国では、国内線の運賃が前年比49%上昇したのに対し、国際線は約5%下落している。この動きは、既に米国人の旅行先の選択にも表れている。海外旅行を選ぶ人が増えたことで、米国内の航空予約全体に占める国内線の割合は前年比で6.4ポイント低下した。
ジェット燃料価格の上昇が続く中、早めに計画を立てることが得策だと言えるだろう。アーノットはこう指摘した。「多くの旅行者は出発間際になって予約する。計画を確定させるのを、ぎりぎりまで先延ばしにしてしまうのだ」。フライトハブの報告書によると、米国の旅行者は一般的に出発の約1カ月前に航空券を予約する傾向があるが、3カ月以上前に予約すると最大で30%程度安価になるという。
感謝祭やクリスマスの航空券をまだ予約していない場合、予想外の価格高騰に驚かされることになるだろう。フォーブスの取材に応じた航空追跡アプリ「フライティー」の広報担当ケーティー・ナストロは、「一般的な旅行者にとって、年末年始の旅行は手の届かないものになるかもしれない」と語った。



