購入までの過程でAIの影響はどこまで強まるか
では、買い物の過程を誰が主導しているのか。購入を最終決定するのは依然として消費者だが、購入に至るまでの過程ではAIが主導する範囲が広がり始めている。AIは、消費者がどの商品を見つけ、比較し、勧められるかを次第に左右するようになり、いずれは何を購入するかまで決める可能性がある。販売事業者には、AIエージェントが判断する時代に、誰が顧客との関係を握るのかという大きな戦略上の問いが生じる。
ベンソンは「商品を調べる際、AIが消費者に3~4つの有名ブランドを提示することがある。しかし、最終的にどの小売業者から買うかは、これまでの購買習慣ではなく、AIエージェントの推奨によって変わる可能性がある。小売業者が商品を勧めても、その小売業者から購入されるとは限らない。購入手続きが簡単だという理由で、勧められた商品をアマゾンで買う利用者も多い。最終的に決めるのは依然として消費者だが、AIの影響によって、選ぶブランドや購入先の小売業者が変わる可能性がある」と述べた。
支払いの最終権限は消費者が握る
AIに判断を手伝わせることと、自分のお金を実際に使わせることの間には明確な線引きがある。回答者の64%は、買い物支援AIが本人の承認なしに購入代金を支払うことを認めないと答えた。16%は少額の購入に限って認め、20%は承認なしの支払いを認めると回答した。
決済情報の共有にも同じ慎重さが表れた。最安値が保証されるなら、買い物支援AIに決済情報へのアクセスを認めると答えた人は19%にとどまった。「認めるかもしれない」は23%、「認めない」は58%だった。消費者は、AIに買い物全体を任せる準備はできていなくても、一部の判断なら任せようとしているようだ。
小売業者が、複数の決済事業者を使い分ける理由
Spreedlyは、小売業者が複数の決済事業者を使い分けられる決済基盤を提供している。ベンソンは、小売業者がSpreedlyを利用する理由について「特定の決済事業者1社にすべてを委ねず、独立性と予備の選択肢を確保したいからだ。複数の決済事業者を使えば、状況に応じて使い分けることで支払い処理の成功率を高められる。コスト面でも大きな交渉力を持てる」と説明した。
AIへの不安があっても日常利用は続く
ベンソンは、AIに対する否定的な見方は確かに存在するとした。「消費者は仕事を失うことを恐れ、データセンターへの反発もある。それでも人々はAIの利用にすでに慣れており、特にデジタル商取引では日常的に使っている。買いたいものを調べたり、問題の解決方法を探したりするためにAIを使い、その結果として商品にたどり着くことが多い」と述べた。
ベンソンは、AIが社会のあらゆる領域に影響していると指摘した。「人々は強い不満を抱いている。テクノロジーに脅威を感じ、文句も言う。それでも、スマートフォンやインターネットへの接続なしで暮らそうとする人はいない。我々はAIも同じテクノロジー利用の一部だと考えている。データを見ると、特に若者は調べ物でグーグルをChatGPTに置き換えつつある。買いたいものを調べ始めるときにChatGPTを使っている」。


