言語を変えると、企業を説明する材料が変わる
日本企業にとって、分かりやすい違いが現れたのが言語である。英語の質問では、メディアに分類された引用を単独ドメインで集計すると、The Japan Timesが最も多く、Reuters、AP、Forbes.comが続いた。日本語ではdiamond.jp、jp.reuters.com、nikkei.com、toyokeizai.netで、上位の顔ぶれが変わった。
図表1 質問する言語によって変わる引用元
全引用に占めるメディアの割合は、英語、日本語とも1割台前半だった。状況や時点、設問内容によって大きく変化する可能性もあるが、少なくとも今回の集計では、言語を変えてもメディアというカテゴリーの比率に大幅な差はなかった。
変わったのは、主として、どの情報源がその役割を担うかである。これは、どの媒体が優れているかを判定する結果ではない。海外の投資家や顧客がAIを通じて接する企業像は、日本国内で共有されている企業像を単純に英訳したものとは限らないということである。事業のグローバル化とともに、企業についての事実や文脈が、別の言語でも十分に伝わる状態にあるかを問う必要がある。
「AI」を一括りにできない。利用シェアも変わり続ける
同じ企業について、同じ言語で、同じ質問をしても、AIによって回答の言い回しだけではなく、引用する情報源も大きく異なった。企業が自社で使い慣れたAIの回答を確認しても、投資家や求職者が別のAIで同じ情報に接しているとは限らない。AI毎の回答内容を個別に確かめる必要がある。
さらに、どのAIがどれだけ利用されるかという構成も、短期間で大きく変化している。
Comscoreが2026年9月22日に公表したパネルデータによると、AIへのプロンプト数に占める割合は、同年1月から6月にかけて、ChatGPTが70%から50%へ、Geminiが17%から30%へ、Claudeが2%から11%へ変化した。約半年の間に、利用の配分は大きく動いたのである。さらに、これは同社が測定したプロンプト量の構成比であり、世界全体や投資家の利用率と同一視することはできない。
企業が備えるべきなのは、一つのAIへの一度限りの対応ではなく、複数のAIを継続的に確かめる仕組みである。投資、採用、取引など、経営上重要な判断につながる問いを選び、各AIの回答に必要な事実や根拠が含まれているかを確認する。決算や戦略変更の際だけでなく、利用動向が変わったときにも確認対象と優先順位を見直す。自社の情報を更新するとともに、その情報が届く経路も点検し続けることが求められる。


