熱帯太平洋は、夢のような場所だ。青緑色の浅瀬、魚であふれるサンゴ礁、美しいビーチ、そして独自の島しょ文化がある。この地域には、1500万人が暮らしており、22の島しょ国に広がるコミュニティは、食料、ウェルビーイング、生計を太平洋に依存している。
そうした太平洋諸国は、自らを支える海を守るための資金面の後押しを受けることになった。
今週、ベゾス・アース・ファンドは、アラスカ州を上回る面積に相当する62万5000平方マイルの海洋保全を支援するため、総額2500万ドル(約39億3000万円)の6件の助成金を発表した。資金は、クック諸島、キリバス、パプアニューギニア、トンガ、バヌアツの海洋保護区を支援する。また、太平洋諸国が協力し、公海上に世界初級の国際海洋保護区を創設する取り組みも後押しする。
「この夏、私は太平洋で時間を過ごした。海は誰もが想像する通りのものだった。しかし、私の心に何度も浮かぶのは人々のことだ」と、ベゾス・アース・ファンドの副理事長ローレン・サンチェス・ベゾスは、新たな助成金を発表するプレスリリースで述べた。「あの場所では、海は単なる美しい眺めではない。道であり、食料庫であり、裏庭なのだ」
太平洋の繁栄に総額1億ドル(約157億円)を拠出
これは、ベゾス・アース・ファンドが2023年12月に発表した、太平洋主導の海洋保全を支援する1億ドル(約157億円)の拠出誓約に基づいて配分された第2弾の助成金である。アース・ファンドの資金の3分の1にあたる3750万ドル(約58億9000万円)は昨年9月、太平洋の12の島しょ国で活動する団体に配分された。これまでにベゾス・アース・ファンドは、17カ国で総額6330万ドル(約99億5000万円)を拠出している。
これらの助成金はすべて、政府間組織である太平洋共同体(SPC)が主導し、22の国と地域が支持するイニシアチブ「アンロッキング・ブルー・パシフィック・プロスペリティ(Unlocking Blue Pacific Prosperity)」の目標を前進させるものだ。これらの島しょ国は、2030年までに自国の海域の100%を持続可能な形で管理し、少なくとも海洋の30%を保護することを約束している。
これが実現すれば、900万平方キロメートルの海が保護されることになる。これは中国または米国の面積におおむね匹敵する地球上の広大な海域だ。
「これはおそらく、世界最大の共同管理される気候・生物多様性資産だ」と、太平洋共同体の気候変動・持続可能性担当ディレクターであるコーラル・パシシは、故郷の島ニウエからの電話インタビューで筆者に語った。
「太平洋諸国は、地球規模の環境面の利益をもたらす、この驚くべき海洋資産を守っている」とパシシは述べた。「だが小国にとって、これほど広大な海域を効果的に管理するのはかなり難しい。特に、食料安全保障や経済に及ぶ気候影響に対処しようとしている中ではなおさらだ」
ベゾス・アース・ファンドは、Niue Ocean Wide Trustのような革新的な保全資金メカニズムを構築するニウエなどの国々を支援している。
太平洋のための持続可能な保全モデル
アース・ファンドの助成金は「各国の現状に寄り添い、海洋保護と保全において各国が望むことを実行できるよう支援している」と、国際非営利団体Rareの地域プログラム担当マネージングディレクター、ロッキー・サンチェス・ティロナは、フィリピンの自身のオフィスからの電話インタビューで筆者に語った。
太平洋の島しょ国の中には、新たな海洋保護区を設計し、法的に実施することを優先する国もある。既存の海洋保全地域での執行支援や、海洋資源のモニタリングと管理の改善を求める国もある。多くの国は、海洋保護区のための持続的で長期的な資金メカニズムの構築にも助成金を活用している。
持続可能な資金モデルの一例はパラオにあると、サンチェス・ティロナは述べた。パラオは20年以上前、海洋保護区を支援するための海洋保全信託基金を設立した。観光収入が基金に拠出され、基金の元本から追加収入が生み出される。資金の配分方法は理事会が決定する。
「それが、自国で機能するかどうかを見極めるために各国が注目しているゴールドスタンダードだ」とサンチェス・ティロナは述べた。
これらの助成金が、太平洋諸国が互いに学び合い、長期的な海洋保護で協力を深める助けになることも期待されている。
例えば今年初め、初開催のメラネシア海洋サミットに各国首脳が集まり、パプアニューギニア、フィジー、バヌアツが「メラネシア海洋保護区回廊」を提案した。これとは別に、複数の国が、先住民主導の多国間メラネシア海洋保護区の枠組みづくりに取り組んでいる。これは600万平方キロメートルを超える海洋と島々を保護するものだ。
公海保護の新たな道筋
Rareは今週、各国の管轄権の外にある広大な深海域である公海において、連結した回廊を太平洋諸国が保護するのを支援するため、アース・ファンドの助成金を受けた。
正式名称を「国家管轄権外区域の生物多様性(BBNJ)協定」とする国連公海条約は、2026年1月に発効した。同条約は、国際水域に海洋保護区を設置するための新たな枠組みを創設する。アース・ファンドの助成金は、これらの越境地域を創設・管理する方法を各政府が協議する際の支援となる。
「すべてが新しい。まさに、進めるべき正しい方法を見極めることが重要なのだ」とサンチェス・ティロナは述べた。「少なくとも1件の提案を、批准に向けてBBNJに持ち込めることが期待されている」
太平洋諸国にとって、公海の主要な領域を守り管理する新たな保全ツールは、マグロやザトウクジラのように、各国が依存し、その分布域が国際水域の遠方まで広がる種を守る助けとなる。
ベゾス・アース・ファンドが太平洋向け資金提供の第2弾で行ったその他の助成は以下の通りだ。
クック諸島 - バードライフ・インターナショナルへの助成金は、73万4000平方マイルを超える海域をカバーする海洋公園マラエ・モアナを支援する。これには、オニイトマキエイや絶滅危惧種のヨゴレといった象徴的な生物を守るため、これらの海域の監視と管理の方法を改善することが含まれる。
キリバス - Live & Learn Environmental Educationへの助成金は、優先的に保護すべき海域を特定し法的に保護するためのキリバスの計画策定プロセスを支援し、既存の保護区を強化し、モニタリングと執行を改善する。また、こうした海洋保護を維持するための長期資金の構築にも役立つ。
パプアニューギニア - Wildlife Conservation Societyへの助成金は、地球上で最も生物多様性に富む海洋生息地の一つであるコーラル・トライアングルで、同国初の大規模沖合海洋保護区を設計・実施するために使われる。
トンガ - TierraMarへの助成金は、トンガ政府が新たな保護区を設置して自国の海洋の30%を保護することを支援する。また、トンガ海域を移動するザトウクジラやその他の回遊性の種にとって保護区が機能するようにするために必要な長期資金の創設も後押しする。
バヌアツ - Live & Learn Environmental Educationへの助成金は、同国が計画中の海洋保護区を実施するのを支援する。これには、沖合保全地域を指定するための法的プロセスや、コミュニティ主導の海洋管理手法の拡大が含まれる。
これらの助成金による地域での成果は注目に値するが、おそらくそれ以上に重要なのは、ベゾス・アース・ファンドによるこの地域への投資が、太平洋島しょ国の海洋保護の取り組みを支援するよう他の資金提供者を促していることだ。これは「この地球規模の共通善を損なわずに保つ」ための基盤を築くものだと、パシシは述べた。
「これほど短期間にこれほど集中した資金が投じられていることは、私たちが取り組みを拡大し、あまり影響をもたらさない断片的なプロジェクトにとどまってはならないことを明確に示している」とサンチェス・ティロナは語る。「その多くは、協力し、パートナーシップを組み、これまでとは異なるやり方で進めるよう促す呼びかけなのだ」



