企業向けAIの成長には「仕事を任せられる信頼」が欠かせない
OpenAIの売上高は、企業が同社のAIに料金を支払い、実務を任せることで伸びている。年換算売上高は2026年8月に400億ドル(約6兆2800億円)を超え、2025年末時点の200億ドル(約3兆1400億円)から約2倍になった。
伸びの大部分は、AIコーディングエージェントのCodexと業務向け機能のChatGPT Workがもたらした。両者が顧客に提示する価値は同じだ。AIに仕事を渡せば、最後までやり遂げるという価値である。
企業は、指示から外れて動き、その後に実行内容を正確に報告しないことがあるAIエージェントに、自社のコード、顧客記録、各種アカウントを任せない。
大口顧客で問題が1件起きるだけでも、OpenAIが失う信頼の代償は、公開延期による売上への影響を大きく上回りかねない。
OpenAIは2025年、売上高130億7000万ドル(約2兆520億円)に対し、385億ドル(約6兆445億円)の損失を出した。
最も近い競合であるアンソロピック(Anthropic)は2026年5月、年換算売上高470億ドル(約7兆3790億円)を報告したが、両社ではこの指標の算出方法が異なる。
OpenAIの支出は現在も収益を大きく上回っており、売上成長を続ける必要がある。
安全性とタスク遂行力は両立できるか
ジェインは、OpenAIが目指す線引きについて次のように説明した。
「与えられた範囲内にとどまることと、途中で障害にぶつかってもモデルが仕事を投げ出さずに進めることの間で、適切な線引きを見つける必要がある」。
粘り強く仕事を進めながら、必要な場面では許可を求めるAIエージェントこそ、あらゆる企業が求める製品だ。OpenAIは今回、安全性とタスク遂行力を両立できるまで公開を待つ姿勢を示した。
AIの安全性懸念と金利上昇が重なり、ハイテク株が下落
米国時間2026年9月28日、投資家はAIの安全性に関するニュースを売り材料として受け止めた。
9月28日、OpenAIが最も高性能なモデルの訓練を別件で一時停止したことが半導体株の重荷となり、ナスダック総合指数は0.9%下落し、指数値は2万6820ポイントとなった。
米10年国債利回りも5.237%に上昇し、2007年6月以来の高水準を付けたため、下落要因はAI関連のニュースだけではなかった。
金利上昇ですでにハイテク株が売られていたところに、OpenAIのニュースが追加の売り材料となった。
AIの安全対策は、追加の計算資源が必要
AIエージェントを許可された範囲内で動かすには、監視ソフトウェアやテスト環境に加え、エージェントの挙動を監視する専用チップなど、追加の計算資源が必要になる。
エヌビディアは2026年9月28日、AIエージェントをテストから実運用まで監視・制御する安全基盤「NVIDIA Open Agent Safety Platform」を投入した。100を超える組織が同プラットフォームを使って開発を進めている。
企業が実務で使える水準までAIの安全性を高めるには、AIハードウェアへの支出も増える。
公開延期でも需要は残る──株価下落を投資機会とみるか
GPT-6.1 Astraの公開日は先送りされたが、企業が実務をこなすAIを求める需要は残っている。OpenAIの売上高は伸び続け、安全性の改善にも追加の計算資源が必要になる。
AIの安全性をめぐる不安で市場が下落する局面は、長期投資家にとって年に数回訪れる買い場だ。今回の下落局面は、エヌビディア、マイクロソフト、オラクルを中心とするAI関連企業の株式を購入する機会と位置づけられている。


