欧州

2026.09.30 07:00

ロシアで重大犯罪が急増 顕在化する「ウクライナ帰還兵」問題

ウクライナ西部の州にある収容施設で2025年2月2日、屋外に並んだロシア人捕虜たち(Miguel Candela/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

国防省との契約に署名した者にはさまざまな特権が与えられる。なかでも重要なのは、一定の条件のもとで刑事訴追や刑罰を免れる仕組みだ。プーチンは2024年、刑事裁判中の被告人も軍と契約できるようにする法律に署名した。こうした被告人は従軍に伴って刑事手続きが停止され、戦闘の功績で勲章を授与されるなど要件を満たせば、刑事訴追が打ち切られることもある。一方で、殺人罪で有罪判決を受けた者が、従軍のため刑の執行を免除され、ウクライナで戦ったあと社会へ戻り、再び殺人を犯したというケースもある。

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戦場から持ち帰られる技能や武器

ロシアはかねて組織犯罪の温床だったが、ウクライナでの戦争で拍車がかかっている。ロシアの軍務経験者のなかには、もともと犯罪ネットワークとつながりのあった者もいれば、犯罪組織に勧誘されたり、あるいは自ら新たな犯罪組織を結成したりする者もいる。彼らは戦場で身につけたスキルを、ロシアの裏社会に持ち込んでいる。現代の組織犯罪グループは情報収集やネットワーク管理、兵站などに通じた人材を必要としており、これらはまさに軍人たちが軍務を通じて習得するスキルだ。

戦闘関連のスキルに加え、軍人たちは多くの武器も本国に持ち帰っている。これらの武器は闇市場に流れ、抗争する犯罪組織の手にも渡る。制裁や取引ルートの混乱を受けて、ロシアでは武器の新たな闇市場が生まれている。ロシア軍は武器の所在を追跡・管理する能力が不十分なため、軍人らが武器を盗み出して売りさばくのはさほど難しくない。さらに言えば、軍人による武器の窃盗が見つかり、裁判にかけられても、科される刑は軽い。

同時に、ロシアでは警察から大量の人材が流出しており、人員不足は最大で40%に達する。警察官の辞職はあとを絶たない。理由として挙げられているのは、給与の低さだ。ロシアの警察官の平均月給は2025年時点で5万ルーブル(約9万4000円)程度とされ、休暇も取りにくいという。軍はより高い給与や手厚い入隊奨励策を提示しているため、戦争が警察から軍への人材の移動を促す格好になっている。

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ロシアではアフガニスタン戦争後やチェチェン戦争後にも、犯罪の急増や、帰還兵の間で広がる社会への不満、社会からの疎外感が報告された。今回の大きな違いは、ウクライナでの戦争は規模がはるかに大きく、使われている武器も格段に強力で、兵士に採用されている者はもっと暴力的だという点だ。

(forbes.com 原文)

翻訳・編集=江戸伸禎

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