欧州

2026.09.30 07:00

ロシアで重大犯罪が急増 顕在化する「ウクライナ帰還兵」問題

ウクライナ西部の州にある収容施設で2025年2月2日、屋外に並んだロシア人捕虜たち(Miguel Candela/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ロシア国内の犯罪活動は、以前はモスクワやサンクトペテルブルク、ニジニノブゴロドといった主要都市に集中していた。だが、ウクライナ侵攻後は各地に拡散してきており、バシコルトスタン共和国、クラスノダール地方、タタールスタン共和国、ブリヤート共和国、ダゲスタン共和国、サハ共和国(ヤクーチア)などでも犯罪の増加がみられる。

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ロシアの国境地域では銃器を使った犯罪も急増しており、増加率が3桁に達する地域もある。ウクライナの政府機関によると、ロシアの2025年の重大犯罪数は62万7900件と過去15年で最多を記録した。これは国内の治安状況の構造的な悪化を示すものとみられている。

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ウクライナでの戦争に伴い、ロシア軍人が関与した刑事事件も激増している。ロシアの軍事裁判所が2022〜25年に受理した軍人関係の殺人事件は729件にのぼる。戦争前の4年間は67件にとどまっており、件数は年々増えてきている。また、ロシアの軍事裁判所は2022〜25年に強姦や性的暴行に関する事件を549件受理しており、このうち312件は未成年者が被害者だった。ロシアでこうした事件の判決が公表されることはほとんどない。

研究によれば、実戦経験のある人が暴力犯罪に手を染めるのは、戦場で暴力にさらされ、その影響を受けるためとみられている。戦地で暴力にさらされた人は、民間の生活に戻ったあとも暴力を許容しやすく、しかもそれを行使する仕方も「上達」しているという。ほかに研究されている要因としては、社会的なつながりの断絶、アルコール依存や薬物使用、精神衛生面の問題の増加などが挙げられる。

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公的機関による支援体制の不備も、犯罪組織に勧誘の機会を与えるかたちになっている。さらに、戦争の当事国では実戦経験者だけでなく、その経験がない人の間でも暴力犯罪が増加するとする研究もある。戦後の社会では、あらゆる層の人々の間で暴力が当たり前のものとして正当化されるようになるからだという。

ロシア軍人に関して言えば、殺人事件の多くに飲酒が関係していて、加害者が酒に酔っていた割合は75%近くに達する。ある帰還兵は酒を飲んで口論になったあと、女性を刃物で42回も刺した。ウクライナで戦った経験のあるアレクサンドル・カシュカレフという別の人物は、酒屋でウォッカとワインを盗んだ際、店員を乱暴に脅した。カシュカレフが犯罪に及んだのは3度目だった。だが、裁判所は「祖国に対する非の打ちどころのない奉仕」を理由に、彼に1万ルーブル(約1万9000円)の罰金を科しただけだった。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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