欧州

2026.09.30 07:00

ロシアで重大犯罪が急増 顕在化する「ウクライナ帰還兵」問題

ウクライナ西部の州にある収容施設で2025年2月2日、屋外に並んだロシア人捕虜たち(Miguel Candela/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ウクライナ西部の州にある収容施設で2025年2月2日、屋外に並んだロシア人捕虜たち(Miguel Candela/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ロシアの野党でウクライナ侵攻に反対している「ヤブロコ」のレフ・シュロスベルク副党首は8月、ロシアの裁判所で懲役11年1月の実刑判決を言い渡された。彼が問われた罪は何か? ロシア軍に関する「虚偽情報の拡散」や軍の「信用失墜」だ。

ロシア人のエドゥアルド・ビタロフへの処罰はある意味、それと対照的なものだった。ロシア軍人としてウクライナでの戦闘に参加したビタロフは2022年5月、元妻を殺害し、激情に駆られた殺人の罪で翌年に有罪判決を受けた。だが、実戦経験などの情状が酌量され、実刑は免れた。

もとより、ロシア軍関係者による暴力の被害者は自国民だけではない。国際連合が9月に公表した報告書によると、ウクライナでは2022年2月のロシアによる全面侵攻開始から今年7月までに、民間人や捕虜に対する性暴力が1000件あまり確認されており、その9割近くがロシアの軍人や当局者によるものだった。

ロシアの法律は加害者を保護し、平和を促進しようとしている人々を追及している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナに対する全面侵攻を始めて間もない頃に、軍に関する「虚偽情報」の拡散や軍の「信用を失墜させる」行為を処罰する一連の法案に署名した。目的は、ウクライナでの戦争に対する批判を封じ込めることだ。他方、今日のロシアでは、殺人を犯したり、他人に重傷を負わせたりしても、(この戦争で戦った経験があれば)実刑を免れられる場合がある。

こうした倒錯した状況が、ロシア人による国内外での犯罪拡大を助長している。

重大犯罪数は15年ぶりの多さに

ロシアは以前にも似たような経験をしている。1991年のソビエト連邦崩壊後、ロシアでは犯罪が急増し、組織犯罪グループが銀行や工場、収益性の高い市場を支配下に置いた。自動車爆弾による爆破や殺し屋による殺人が日常の一部になった。1990年から1994年にかけて、ロシアの殺人率は世界でもとくに高い水準にあった。

暴力と混沌のただ中にあった1990年代以降、ロシアの犯罪率は全体としては低下してきた半面、殺人などの重大犯罪は急増している。ウクライナの周辺諸国のなかで、重大犯罪の増加幅が最も大きいのはロシアだ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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