サイエンス

2026.10.01 18:00

生命誕生の鍵は「深海の岩石」にあり、40億年前の化学反応が解き明かす生物の起源

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地球上で生命が始まったのは、深海熱水噴出孔と、その周囲の金属のおかげかもしれない。これらの金属は、自力で化学反応を完結させられる最初の単細胞生物が誕生する前に、その化学反応を成立させる助けとなったと見られる。

『Science Advances』に2026年8月5日付けで発表された研究によると、最初期の単細胞生物は、生命の核心となる化学反応の仕組みを深海熱水噴出孔の環境から得たが、その代謝システムは自律的には完結しておらず、熱水噴出孔に豊富に存在する金属(触媒)の助けを借りることで成り立っていた可能性がある。

この画期的な研究は、生物学最大の謎に迫るものだ。その謎とは、酵素(タンパク質)が存在しなかった時代に、生物はいかにして生命の化学的プロセスを遂行し始めたのか、というものだ。

2つの系統、2つの解決策

単細胞生物の2大グループである細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)は、それぞれ独自の方法で、生命の化学反応を遂行するようになった。同じことを行う必要があったのだが、そのために異なる酵素を生み出したのだ。今回の研究では、数百種類の細菌と古細菌の遺伝子を解析し、生命の化学反応がどのように構築されてきたかを調べた。

細菌群と古細菌群の遺伝子分析を行うことで、地球上のすべての生物の起源とされる「最終共通祖先(LUCA:Last Universal Common Ancestor)」までさかのぼることができる。LUCAは、約40億年以上前に生息し、今日のあらゆる生物に、基本的な細胞機能を伝えたと考えられている生命体だ。

ある酵素が細菌と古細菌の両方に存在する場合、その酵素はLUCAにも存在していた可能性が高い。一方のグループにのみ存在する場合は、両グループが分岐した後に進化したと考えられる。

細菌と古細菌が分岐したとき、その生命の根幹となる化学的仕組みはまだ完成していなかった。そして、両グループとも同じ課題に直面し、それぞれが独自の解決策を見いだした。例えば、アミノ酸の一つであるアラニンの合成を助ける酵素は、細菌と古細菌では全く異なる構造をしている。芳香族アミノ酸、葉酸、リボフラビン(ビタミンB2)の合成に関与する酵素についても同様だ。つまり、化学反応そのものは同じであるにもかかわらず、細菌と古細菌は、同じ仕事をするために異なる手段を編み出したのだ。

酵素が存在する前には、金属がその役割を果たした

現存する生物においては、全ての細胞に、化学反応を加速させる酵素が存在する。酵素がなければ、反応が遅すぎて生命活動を維持できない。もし最初期の細胞が、いかなる酵素も持っていなかったとしたら、何かほかのものが手助けする必要があった。その「何か」こそが、前述した金属だった。

深海熱水噴出孔の壁を構成するニッケル、鉄、コバルトなどの金属は、化学反応の補助因子として機能する。今回の研究では、これらの金属が関与する37の主要な代謝反応が特定された。

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翻訳=ガリレオ

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