サイエンス

2026.09.30 18:00

日本人ではわずか0.5%しか存在しない「Rhマイナス血液型」が絶滅せず残る理由

stock.adobe.com

Rh陰性の割合は地域によって異なる

世界全体で見ると、Rh陰性の人は6%ほどにすぎない。ヨーロッパと、そこに起源を持つ集団では15%だが、東アジアの大部分では、この形質は、輸血用血液の確保を困難にするほど珍しい。

advertisement

この形質が最も多いのはピレネー山脈のバスク人だが、推定値はサンプルによって異なり、人口のおよそ5分の1から3分の1(約20%から30%超)までの幅がある。2018年に『European Journal of Human Genetics』に掲載された研究によれば、バスク人集団のRhD遺伝子欠失の頻度は世界で最も高いという。この研究ではその説明として、集団の孤立と、なんらかの適応上の利点の両方が提示されているが、どちらについても明確に実証されているわけではない。

この形質が日常生活ではほとんどコストにならないことを示す、さらなるヒントもある。RhDは、それよりも大きな膜複合体にあり、この複合体は、赤血球によるアンモニア処理を助けていると見られ、二酸化炭素の処理に関わっている可能性もある。2007年に『Seminars in Hematology』で発表されたレビュー論文によれば、この複合体全体を欠いている人(Rh-null型と呼ばれるまれな状態)では、赤血球が歪んでもろくなり、崩壊しやすいという。だが、RhDだけを欠く人では、測定可能な不利益は見られない。機能の上では、このタンパク質はスペア部品のようなものなのだ。

こうした知見は、Rh陰性がなんらかの別の人類系統や大昔の交雑を示しているとする俗説を打ち消すものでもある。実際のところは、ある遺伝子の欠失が、一部の集団に広まり、別の集団には広まらなかったということなのだ。

advertisement

さて、この記事の締めくくりとして、興味深い話を紹介したい。1960年代後半以降、抗D免疫グロブリンの注射により、Rh陰性の母親がそもそも感作しないようにする措置がとられるようになった。このため、妊婦健診と、こうした処置を受けられる場所では、Rh不適合による深刻な症状が生じることはまれになっている。

これにより、この形質をヒトという種から徐々に押し出してきた一つの力が、事実上スイッチオフとなった。15%などの割合がかつて何を表していたにせよ、医学がいま、それを固定したというわけだ。

(forbes.com 原文)

翻訳=梅田智世/ガリレオ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事