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2026.09.29 16:15

10周年を迎えた「すごい地方公務員アワード」。より良い社会をめざす今年の受賞者は?

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無難に逃げない「構想力」

役所の仕事は、多くのステークホルダーとの調整のうえに成り立つものも多い。新しいことを始めれば、どこからか必ず異論が出る。その結果、各方面への配慮を重ねるうちに、誰も望むことのない無難な結論に着地してしまうこともある。次に紹介する3人は自らの想いを信じて行動し、それを行政の仕組みに反映させてきた。

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富山県富山市の佐伯哲弥は、富山ライトレール(LRT)で事業継続の鍵となる「黒字化」に真正面から向き合い、200万円分のネクタイやグッズを売り捌く。市、商工会議所、地元企業などが出資する「株式会社まちづくりとやま」では、民間との信頼関係を築き、映画館の復活など地域の官民連携を形にした。

この土台の先に結実したのが「一般社団法人トヤマチミライ」の立ち上げだ。富山駅周辺で各企業・団体が行っていた点の活動を、面の活動へと拡大。競合他社が利害を越えてデータを共有し合い、まちを動かし、現在は駅周辺50の企業会員らと協働している。

静岡県静岡市の山﨑雄治は「公園・都市緑化部門」の専門職として現在の部署に7年間在籍。老朽化した3つのプールの利用者あたりの費用をデータで示すとともに、対話によってプールを廃止することで1800万円を捻出、維持管理費の乏しい他の公園に活用した。

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それだけではなく、山﨑は県内でも5例しかないPark-PFI(民間の資金やノウハウを活用して、公園を整備・運営する仕組み)のうち、3つのプロジェクトを実行した。禁止事項が連なる公園という空間を、若者や子ども中心にルールをデザインさせ、市民とともに公園の価値を高めていったのだ。

奈良県生駒市教育委員会の杉山史哲は、日本の学校教育における「授業」を変えるため、小中学校を所管する生駒市教育委員会の立場から、学校現場の挑戦を支える仕組みづくりに取り組んできた。

第3次生駒市教育大綱の「こども中心の学び」を、研修、視察、学校との対話、予算、人事と結び、持続可能な改革へ落とし込もうとしている。その土台として、学校現場の大きな課題である講師不足にも向き合い、「いこま教育・保育資格登録バンク」などを立ち上げ、3年間で延べ112名の就労につなげた。

以上の3人は本質的な視点で物事を構想するだけではない。成功を手繰り寄せるために自らも汗をかき、そして、常に研鑽を続けながら大きな成果につなげている。

周囲を巻き込む「動員力」

行政は既存の利害関係者と調整を重ねることは得意だが、新たに人々を巻き込んでいくことには不得手なところもある。この動員力は、今後、よりいっそう行政の職員に求められるものだ。

松宮大起氏(左)
松宮大起氏(左)

福井県福井市の松宮大起は、入庁6年目にして若者・企業・行政を巻き込み、住民を主役とする事業を次々に実現。42名の地元の若者を「Z世代クリエイター」として7部署へ配属し、市の企画立案、情報発信、イベント運営に参画させた。42人で約50本の動画を制作し、総再生回数は36万回を超える。

アリーナ開業を見据えた、若者主体の地元プロスポーツ応援プロジェクト「FUKUIスポーツユースアンバサダー事業」では、700万円超の企業協賛を獲得し、市の負担はほぼゼロでパブリックビューイングを開催。約30の地域で、1000人超が参加した。


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文=加藤 年紀

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