猛暑や洪水、火災、嵐は、すでに経済やインフラ、サプライチェーンに混乱をもたらしている。その一方で、気候変動への対処に必要な技術の多くは低価格化が進み、急速に普及している。現在の課題は、経済的な圧力や政治的な混乱のなかで、これらの解決策をいかに迅速に展開していくかだ。
移行の次の段階の成否は、政府、企業、投資家、地域社会が連携できるかにかかっている。
それは、数千もの実践的な意思決定の積み重ねによって達成される。送電網をどこに建設するか、産業の転換をどう支援するか、資金をどう動員するか、物理的な気候リスクから地域社会をどう守るか、そしていかに人々を巻き込んでいくか、といった決定だ。そのためには、連合を築き、相反する利害を調整し、不確実性のなかでも前進を続けられるリーダーが必要とされる。
研究が示すもの
数十年に及ぶリーダーシップに関する研究は、女性が参加型で関係構築を重視するアプローチをとることが多いと示している。気候変動対策の進展が、命令よりも協調に依存するようになっている今、そのリーダーシップを十分に活用しないことは、単に代表性の問題にとどまらず、実効性の問題でもある。
ブラジルの接戦となった市長選挙に関する2026年の研究では、女性が首長を務める自治体は、地域の経済活動のレベルを維持しつつ、主にアマゾンの森林破壊の抑制を通じて温室効果ガス排出量が少なくなっていることがわかった。また、国会における女性議員の割合の高さが、より強力な気候変動政策や炭素排出量の削減につながっていることを示す過去の国家間比較研究もある。
この傾向はビジネスでも見られる。50カ国、約1万社を対象とした2024年の研究では、ジェンダー多様性の改革にともなう取締役会の女性比率の上昇が、企業の直接的および間接的な炭素排出量の削減と関連していることが明らかになった。この効果は、改革に法的拘束力がある場合に強く、パリ協定以降にさらに顕著になっている。
これは、女性を任命すれば自動的により良い環境上の意思決定がなされる、ということではない。しかし、誰が権力を握るかが、気候変動に対する組織の対応の仕方に影響を及ぼしうることを示唆している。
移行を形作る女性たち
スペインでは、第三副首相兼環境移行・人口挑戦相のサラ・アアヘセンが、電化やクリーンエネルギーへの大規模な投資を加速させる一方で、猛暑、洪水、干ばつ、インフラ、都市にまたがる176の対策からなる国家適応計画を推進している。英国では、ミアッタ・ファンブレ・エネルギー相が値ごろ感と公共の利益を移行の中心に据え、クリーンな電力が家庭や光熱費において目に見えるメリットとなるよう取り組んでいる。
オランダでは、スティンチェ・ファン・フェルトホーフェン気候・グリーン成長相が、エネルギー政策と産業政策を統合し、産業の脱炭素化、洋上風力発電、サーキュラーエコノミー(循環型経済)、地域熱供給をグリーン成長アジェンダの一環として推進している。デンマークのバイオテクノロジー企業ノボネシス(Novonesis)では、エスター・バイジェットCEOが化石燃料由来の原料や化学物質、エネルギーへの依存を減らすバイオ技術の導入を拡大させている。
これらの女性たちは、公的政策、産業戦略、技術、民間投資といった、それぞれ異なるレバー(推進手段)を引いているが、移行を成功させるには、それらの取り組みが互いに補強し合う必要がある。
気候変動政策は政権交代や経済の低迷、地政学的ショックを乗り越えなければならないため、これは極めて重要だ。企業は投資を正当化できるほど政策が長期的に継続するという確信を必要としており、政府は適切な環境を整えれば企業がそれに応えてくれるという確信を必要としている。
「Women Leading on Climate」は、政府、企業、市民社会にまたがる、35カ国以上の1000人を超える女性たちを結びつけている。その多くはすでに、重大な意思決定が行われる現場に席を置いている。代表性の確保は依然としてミッションの一部だが、それが最終ゴールではない。重要なのは、異なる組織や地域で女性がすでに持っている影響力をつなぎ合わせ、政策立案者、ビジネスリーダー、投資家、市民社会のリーダーが個々に活動するのではなく、課題を前進させられる強固な連合の一部となることだ。
代表性から影響力へ
Women Leading on Climateの発足の経緯は、それがどのようなものかを垣間見せてくれる。当初発表されたCOP29組織委員会に女性が1人も含まれていなかった際、ビジネス、政策、市民社会の女性リーダー100人が団結してこの決定に異議を唱えた。そのわずか数日後、委員会は拡大され、12人の女性が加わることとなった。差し迫った問題は代表性だったが、そこから得られた教訓はより深いものだった。異なる組織でそれぞれ異なる形で影響力を持つ女性たちが協力し合うことで、結果を変えられるということだ。次の課題は、この集団としての影響力を、誰が席に着くかだけでなく、その場で下される決定にも同様に及ぼすことだ。
ニューヨーク気候行動サミット(Climate Week NYC)において、Women Leading on Climateは、共同での行動が具体的な違いを生み出せる分野を探る。投資を引き出し、導入を加速し、政策の確実性を高め、気候変動への解決策がそれを導入する経済や地域社会に確実に利益をもたらすようにすることだ。
このネットワークの次の段階は、単にどれほど多くの女性を結びつけるかではなく、そのつながりによって何を実現できるかによって測られるべきである。



