「オクトーバーフェストにやって来る若い世代は概して、より多様なアクティビティやサービスを期待している」とアイセンスは言う。消費者の好みに合わせて頻繁に変化を遂げる現代において、バーやブランドは伝統の面影を保ちつつ、市場のニーズに応えるべく進化を続けている。
「日がな一日ビールを飲んで過ごしたいと思わなくても、オクトーバーフェストの雰囲気を楽しむことはできる」と話すのは、米ニューヨークに本社を置くホスピタリティ企業マーチャント・ホスピタリティのジェームズ・ベラク副社長だ。「ホスピタリティの観点から言えば、酒の好みが異なる人々が等しく受け入れられていると感じられるような祭りを創り出すことにこそ大きなチャンスがある」
マーチャント・ホスピタリティが運営するニューヨークのウォーターマーク・バーでは今年、12回目のオクトーバーフェストを祝うにあたり、酒をあまり嗜まない人向けにモクテル(ノンアルコールカクテル)や低アルコール飲料など幅広い選択肢を用意した。「アルコール摂取量を抑えながら、ちょっと刺激を感じたい人」を想定しているとベラクは説明する。
ミュンヘンのオクトーバーフェスト会場でも2024年からノンアルコールビールが販売されていて、アイセンスによれば「かなり好評だ」という。ワインを提供する出店者もおり、若い世代の多様なニーズに応えている。「数年前まではまったく考えられなかったことだ」とアイセンスは語った。
米国でも、オクトーバーフェストの時期に合わせてさまざまなノンアルコールビールが売り出されている。ノンアル・低アルビールの多様性が、祝祭を盛り上げるのに一役買っているのだ。
ダウンタウン・スピリッツのアルバラドによれば、米コネティカット州発祥のノンアルコールクラフトビールブランド、アスレチック・ブルーイング・カンパニーが2020年から販売する季節限定のオクトーバーフェスト向け缶ビールは、このカテゴリーで常にトップセラーとなっている。今年はクラフトビールの人気ブランド、サミュエル・アダムズが定番のフェストビールのノンアル版を初めて発売。ノンアルクラフトビールブランドのベストデイ・ブルーイングも、南ドイツのビール「メルツェン」スタイルのノンアルラガーをオクトーバーフェスト向けに発売し、全米屈指の人気を誇るクラフト大手ファウンダーズ・ブルーイング・カンパニーも季節に合わせてドイツスタイルのノンアルビールを発売した。


