ロボットが組む光学実験、原子を操る量子力学の研究にも役立つ可能性
このロボット実験室の能力が役立つ科学分野は数多い。その1つが量子力学である。
量子力学が扱うのは、物理の世界で独自の規則に従っているように見える、ごく小さな構成要素である。物質の基本単位である原子や、電磁場として伝わる光の波がそれに当たる。
上で紹介した装置が量子力学の実験でどう役立つのかを、少し調べてみた。たとえば、レーザーは光双極子力(optical dipole force)と呼ばれる力で、原子をその場にとどめておくことができる。マイクロソフトのAIアシスタントCopilotによれば、この力は次のように説明されている。「分極しうる粒子(電場を受けると内部で電荷が偏る粒子)に働く勾配力で、粒子を光の強度が最も高い領域へ引き寄せたり、そこから押しのけたりする。光の強度勾配と、粒子に誘起された双極子モーメント(電荷の偏り)との相互作用から生じる」。
この考え方から、「光ピンセット」(optical tweezers)と呼ばれる技術が生まれた。この種の力を使い、原子自身がもつ電場を引っぱることで、原子をその場に固定する技術である。
こうした個別の相互作用にとどまらず、科学者は新しい技術を使って、量子力学の予測を新たなやり方で検証できるようになる。対象になるのは、次の3つの現象に関する予測である。1つの粒子が複数の状態を同時にとる「重ね合わせ」(superposition)。波どうしが強め合ったり弱め合ったりする「干渉」(interference)。そして、離れた粒子どうしの状態が連動する「量子もつれ」(entanglement)である。
AI急成長に専門家が警鐘、それでもMITの成果は大きな前進
科学者にとっては、どれも胸の躍る話である。一方、一般の人々はそれほど関心を払わないかもしれない。とはいえ、昨今のニュースの見出しを見ればわかるとおり、AIの力と、その力が急速に強まっていることを、誰もが現実のものとして受け止め始めている。
「専門家たちはすでに、技術が制御不能に陥ることに警鐘を鳴らしている」と、アルジャジーラの記者ショラ・ラワルは書いている。「名だたるAI企業の研究者たちが、ここ数週間のうちに職を辞し、技術開発の速いペースが社会にリスクをもたらすと公に警告している」。
ワシントン(米政界)の反応をまだ耳にしていなければ、こちらの記事を読んでほしい。トランプ大統領がSNSのトゥルース・ソーシャルに書き込んだ投稿も見逃せない。AnthropicのCEOダリオ・アモデイを、どういうわけか「完璧な小さい天使」と呼んだものだ。その上で、深く分断された議会で、この問題がどう決着するのかを考えてみてほしい。
いずれにせよ、AI業界全体にはさまざまな懸念がつきまとう。それでも、ここで紹介したMITの成果は、私たちの存在を形づくる基本要素について、知の最果てを探ろうとしている人々にとって大きな前進である。今後の動きに注目したい。


