経営・戦略

2026.10.01 10:15

卵と混ざってこそ生きる「TKG専用醤油」で大成功、『アイスにかける醤油』も

山川醸造・山川晃生社長

「京都から東では山川さんしかない」

卵かけご飯専用の醤油の試作の様子をブログで発信すると「欲しい」と連絡をくれる人が30人ほど現れ、試作を試した読者からのフィードバックを参考にしながらの商品化まで爆速で取り組み……1か月とかからず完成品へと到達しました。

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折よくその秋、島根県で卵かけご飯を巡るシンポジウムが開かれました。地元局の取材班が全国の関連商品を検索したところ「京都から東では山川さんしかない」と辿り着き、テレビで何度も繰り返し紹介されることになります。まだ販路らしい販路もない中で、スーパーのバイヤーから直接電話がかかってくるようになり、新たな手応えを掴んだのでした。

山川さんには、ある先輩からのアドバイスもまたその後に生きています。醤油も消費者のニーズの変化に合わせて変わっていけばいいということ。そして冬の寒い部屋で、なぜ客は醤油を買うのかと自問したときも、山川さんは一つの結論にたどり着いたといいます。石炭ストーブから石油、ガス、床暖房へと燃料が移り変わっても、客が求めていたのは寒い冬を快適に過ごすことであって、燃料そのものではありませんでした。

醤油をつくることを自分の仕事だと定義してしまえば、需要が減るばかりの産業に閉じ込められます。美味しく楽しい食卓を手伝うことだと定義し直せば、扱う中身は醤油でなくても構いません。卵かけご飯専用の醤油だけでなく、その後メディアから取材殺到した「アイスクリームにかける醤油」(筆者の主観でいえば、みたらし団子のような味わいであと引く美味しさです)は、この発想の転換から生まれた商品でした。

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焼き餅用、煮魚用、ざく切り野菜用──広がる「専用醤油シリーズ」

以後、焼き餅用、煮魚用、ざく切り野菜用と、専用醤油のシリーズが広がっていきます。ラベルはデザイナーの知人に格安で頼み、百枚、二百枚という単位でまず刷ってもらい、売れなければすぐにやめます。かけた費用はデザイン料程度で、失敗しても痛手にならない範囲にとどめていました。すべてが当たったわけではなく、二年ほど試して芳しくない結果に終わった商品もあります。

アイスにかける醤油が形になったのも、この試行錯誤のなかでのことでした。地元の乳業メーカーと新商品開発について相談したところ、担当者から「醤油をかけちゃえば」と冗談交じりに勧められ、それをそのまま形にしたのがきっかけです。日本テレビ「秘密のケンミンSHOW」「ズームイン!! SUPER」、読売テレビ「ミヤネ屋」、NHK「ゆうどきネット」、日経MJなど、多数のテレビ・新聞・ラジオに取り上げられ、新聞・雑誌・テレビ等で累計200件以上のメディア掲載実績の大ヒット商品となるのでした。

「アイスにかける醤油」も
「アイスにかける醤油」も
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