良いことが起きた理由を問うことは、この習慣の実践の重要な部分だ。例えば、同僚が困難な仕事を手伝ってくれたなら、「なぜ同僚は助けてくれたのだろう」と考えることで、自分を支えてくれる人たちへと注意が向く。この視点の転換によってこの実践は感謝と結びつく。感謝はポジティブ心理学において最もよく研究されている感情の1つであり、人生に対する満足度の高さと一貫して関連している。
夜のステップはその日をどのように記憶するかにも影響する。人は1日を振り返るとき、その日のすべての瞬間を等しく評価するわけではない。記憶は感情が最も高まった瞬間とその経験がどのように終わったかを特に重視する傾向がある。このパターンはピーク・エンドの法則として知られている。
学術誌『Organizational Behavior and Human Decision Processes』に2022年に掲載された、この法則に関する多数の調査を分析した研究では、この法則を強く裏づける結果が得られた。夜、最後に考えることが夕食時の口論であれば、その口論が1日全体の記憶の中で強く残る可能性が高い。1日の終わりにいくつかの良い瞬間を思い出すことで、記憶はよりバランスの取れた形で定着する。
2つの習慣の相乗効果
それぞれのステップは単独でも役立つが、一緒に実践すると相乗効果が見られる。朝のステップを行うことで日中の良い瞬間に気づきやすくなる。夜にそれらを振り返ることを意識しているため、1日が進むにつれてそうした瞬間により注意を向けるようになり、その結果、夜の振り返りがよりスムーズで有意義なものになる。
これは心理学者バーバラ・フレドリクソンが提唱した拡張・形成理論にもつながる。この理論では、ポジティブな感情は人が気づくことや挑戦しようとする範囲を広げ、やがてこうした経験が持続的な心理的リソースを構築する助けになるとされている。いくつかの楽しい瞬間だけで人生が一変することはないが、そうした瞬間に繰り返し気づけば徐々に積み重なっていく。
ただし、どの程度の効果があるかについては現実的でいることも大切だ。このような実践がもたらす効果は一般的に控えめで、人によって効果の程度も異なる。また、その根拠がどれほど確固たるものかについても研究者の間では今なお議論が続いている。
振り返りが面倒に感じられるようになったら、自分に投げかける質問を変えてもいいし、一晩スキップしてもかまわない。また、うつや長引く気分の落ち込みに対処している場合、こうしたエクササイズは専門家による支援の代わりとなるものではないことを理解しておくことも重要だ。
始めるためのヒント
最も簡単な始め方は、それぞれのステップをすでに毎日行っている行動と結びつけることだ。朝の問いかけはコーヒーを淹れている間に、夜の振り返りは明かりを消した後に行うことができる。数週間も経つと、多くの人は意識しなくても日中の良い瞬間に気づけるようになる。それこそがこの習慣が生み出そうとしている真の変化だ。


