テクノロジー

2026.09.28 10:15

グーグル、「ロボット版Android」の基盤ソフトを無償公開

prima91 - stock.adobe.com

最も恩恵を受けそうな市場

マシンテンディング向けのリファレンスデザインを公開したことは、Intrinsicが本当に狙っている顧客が誰なのかを、かなりはっきりと示している。

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Intrinsicによれば、米国と欧州だけでも部品の製造を手がける事業者は数万社にのぼるが、何らかの形で自動化を取り入れているのは、そのうちのわずか8%だという。こうした事業者の多くは小規模なメーカーで、10万ドル(約1580万円)を超えるシステムインテグレーション(機器の選定から設置、調整までを一括で請け負う導入作業)の契約には、とても手が出ない。

ここはまさに、必要な手当てが行き届いてこなかった市場である。従来の産業オートメーションは、何十年にもわたってこの市場の期待に応えられずにきた。規模の小さい事業者には、単純に高すぎたのだ。

とはいえ、ロボットアームをはじめとする自動化機器の価格は下がってきている。そこへ、今回のような重要な構成要素が「無料で」手に入るようになった。今回の発表は、自動化の市場のなかでも、比較的小さな家族経営の事業者が多い層に自動化を広げるきっかけになる可能性がある。

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「ROSは大丈夫か」から4年近く

ROSをめぐっては、ロボット業界に長く身を置く人なら覚えているであろう経緯がある。

2022年12月、IntrinsicはOpen Source Robotics Corporation(オープンソース・ロボティクス・コーポレーション)を買収した。同社は、ロボット業界の大半が土台にしているROSを開発してきた組織の営利部門である。ROSのほか、ロボットのシミュレーターGazebo、ROSの開発者会議ROSCon、教育・研究用の小型ロボットTurtleBotは、非営利のOpen Source Robotics Foundation(オープンソース・ロボティクス財団)のもとに残った。ROSの生みの親の一人で、Open Robotics(同財団とその営利部門の総称)を率いていたブライアン・ガーキーは、IntrinsicのCTO(最高技術責任者)に就いた。

アルファベットの子会社が、共有のオープンな基盤にそれほど大きな影響力を持ったら何をするのか。ロボット業界のコミュニティが気をもんだのも、無理はなかった。

当時のガーキーの答えは、要するに、自分たちが何をするかで判断してほしい、というものだった。その1年後、アルファベットのもとでROSは安全なのかとTechCrunchに問われたときには、Intrinsicが自社の成果をオープンソース化する際の基準を、こう説明している。「何をオープンソースにするのが理にかなっているかを考えるとき、私たちが本当に探したいのは、社内で生み出したもののうち、本当にゲームチェンジャーになると思えるものです」。

Intrinsic Coreは、いわばその試金石である。

付け加えておくと、Intrinsicは2023年1月に従業員の20%を削減している。また、打ち切られたグーグルのプロジェクトはかなりの数にのぼる。だからこそ、Intrinsicがソフトウェアの一部をオープンソース化するのは良い知らせなのだ。本番環境で使うソフトウェア一式を他社の技術の上に築くなら、その会社のAPI(外部から機能を呼び出すための窓口)に頼るより、その会社のオープンソースを土台にするほうが安全だからである。

ただし、ロボット向けのオープンソースソフトウェアは、競合がひしめきつつある分野だ。エヌビディアは、AIモデルの共有プラットフォームを運営するHugging Face(ハギングフェイス)と組み、オープンなモデルやフレームワークを、Hugging Faceのロボット向けオープンソースライブラリーであるLeRobotに次々と取り込んでいる。

エヌビディアのロボット向け基盤モデルIsaac GR00Tの重み(学習によって得られたモデルのパラメーター)も公開されている。ロボット向けAIのスタートアップPhysical Intelligence(フィジカル・インテリジェンス)は、同社の基盤モデルπ0の重みと、ファインチューニング(特定の用途に合わせた追加学習)用のコードをオープンソース化した。Intrinsicの差別化のポイントは、このソフトウェア一式が実際の工場で稼働してきたことにある。これは、誰もが胸を張って言えることではない。

Intrinsic Coreが、DeepMindによる人型ロボット向けの取り組みなど、グーグルのほかのロボット関連プロジェクトとどうつながっていくのか。そもそも、つながるのかどうか。その行方が注目される。

オープンソース化されたIntrinsicのコンポーネントは、GitHubで公開されている。

(forbes.com 原文)

翻訳=酒匂寛

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