米国と中国はAIに関する枠組みを新設することで合意し、国家安全保障に関わるリスクの警告を発する「通知システム」について協議した。スコット・ベッセント財務長官が米国時間9月20日、中国当局者との会談後に明らかにした。なお、米国では中国の習近平国家主席の訪問が今週後半に控えている。
米中がAI対話の枠組みを新設へ、国家安全保障に関わる事案の通知も協議
ベッセントは同日、ニューヨークのJPモルガン・チェース本社で中国の何立峰副首相と会談し、AIと通商問題の両方について協議した。
ベッセントは記者団に対し、会談は「非常に成功した」と述べ、双方が「通知メカニズム」を含む「米中AI対話」枠組みの設置について議論したと語った。
このシステムは、AI関連の「インシデント」や、AIによって「国家安全保障レベル」の問題が生じた場合に対処するためのものだという。
さらにベッセントは、国境を越える他の活動と同様に、世界をリードする2大AI大国の双方が「不透明な状態から、より高い透明性へと移行すること」は「極めて重要」だとする米国側の見解を強調した。
具体的なスケジュールについては明言しなかったものの、ベッセントはその後フィナンシャル・タイムズに対し、「おそらく2カ月後に再び会談する」と述べている。
今回の協議は、両国が連携してAIの安全性リスクに対処し、最先端モデルの開発ペースを落とすよう求める、テクノロジー業界のリーダーや研究者の声が高まるなかで行われた。
新華社は米中協議を「建設的」と報道、AIへの言及はわずか
中国国営の新華社通信は今回の会談について、「経済・貿易問題の協議において、率直かつ詳細で建設的な意見交換を行った」と報じている。また、「両国共通の関心事である重要な経済・貿易問題や、これまでの会談で達した合意の履行」が取り上げられたとも伝えた。一方、AIに関する言及はごくわずかであり、「AI関連の問題について対話を行った」と触れるにとどまった。
AI企業幹部や研究者の警告に、中国外務省が反発
中国は先週、アンソロピックのダリオ・アモデイCEOやオープンAIのサム・アルトマンCEOをはじめとするAI研究者やトップ幹部らがAIの安全性についての警告を発したことを受け、これを「恐怖を煽る行為」だとして反発していた。中国外務省の郭嘉昆報道官は、中国政府としてすべての関係者に「AIに対し、オープン、包摂的、かつ善意あるアプローチを促進する」ことを求めていると表明した。そのうえで、「恐怖を煽る行為、対立、悪質な競争」は「AIのグローバルガバナンス」の構築を阻害し、誰の利益にもならないと警告している。
トランプ、AIの安全性に関する懸念を退け「AI部隊」創設を表明
ドナルド・トランプ大統領もAIの安全性への懸念を否定し、「AIで勝てなければ我々は非常に不利な立場に置かれる」と主張した。AI開発を中国との競争と位置づけるトランプは、米国が現在大きく「リード」しており、その優位性を維持したいと考えている。
トランプは週末、AI産業の「成長を妨げたり抑圧したり」するのではなく、「成長を見守り、支援し、育む」ための「AI部隊」を創設し、そのトップとして「AI最高責任者」を任命すると発表した。また、この部隊は「悪意ある」AIを監視するとしつつも、それは「既存の刑事・民事司法制度」で「容易に」対応可能だとも述べている。さらに、「我々は中国やその他の世界をリードしており、私はその状態を維持するつもりだ」と付け加えた。



