AIエージェント発表で2度のソフトウェア株急落
最初の急落は2026年2月上旬、Anthropic(アンソロピック)のオフィス業務向けAIエージェント「Claude Cowork」がきっかけだった。48時間でソフトウェア企業全体の時価総額は、合計約2850億ドル(約44兆8211億円)減少した。投資銀行ジェフリーズのトレーダーが、一連の売りに「SaaS終末論」という呼び名を付けた。
2度目は、OpenAIがPresenceを発表した7月22日だった。ソフトウェア株に特化した最大規模の上場投資信託(ETF)「IGV」は同日3%下落し、数日以内に売りは業界全体へ広がった。
HubSpot:12.7%下落
Atlassian(アトラシアン):11.8%下落
Workday(ワークデイ):9.9%下落
Salesforce(セールスフォース):7.7%下落
2度の局面では、ほぼすべてのソフトウェア株が一斉に売られた。業界全体に売りが広がると、将来性のある企業まで、先行きに不安のある企業と一緒に株価が下落することがある。
自ら銘柄を選ぶ投資家にとって問題なのは、同じように売られた企業でも将来性が大きく異なることだ。
AIに代替されやすい特定業務向けソフトウェア
大きな脅威にさらされやすいのは、ZoomInfo、C3.ai、Asanaのように、特定の業務だけを担うソフトウェアを販売する企業だ。利用企業は、営業先の発掘、データ整理、プロジェクト管理など、特定の業務に特化したツールに従業員1人当たりの月額料金を払っている。
問題は、営業先の発掘、データ整理、プロジェクト管理などをAIが代替できるようになった場合だ。利用企業がすでに契約しているサービスの料金にAI機能まで含まれていれば、別の専用ツールを契約する必要は薄れる。従業員1人当たりの月額料金を取る専用ツールは、価格を正当化しにくくなる。
ZoomInfoは、AIによる代替圧力がどれほど速く業績と株価に及ぶかを示している。同社は営業先の連絡先データベースを販売している。2026年5月に通期売上高見通しを引き下げ、600人の人員削減を発表すると、株価は1日で29%下落した。
2021年のピーク時に約250億ドル(約3兆9317億円)あった企業価値は、20億ドル未満(約3145億円を下回る水準)まで縮小した。The Next Webは、AIエージェントなら公開ウェブを検索し、見込み客の情報を数秒で調べられると指摘した。その結果、非公開の連絡先リストの価値が下がるという。


