Forbes JAPANでは2023年から、そうした文化起業家たちを選出してきた。選出基準は、1. 文化資産や地域資源を掘り起こし、新たな価値やエコシステムをつくろうとしている、2. 日本文化の価値を世界に伝える新たなリーダーシップをもつ、3. 今、未来の新しい文化をつくろうとしている、のいずれかに当てはまること。グローバルへの視点、地域産業やコミュニティへの貢献、社会課題の解決、持続可能性、商品やつくり手のストーリーへの共感を生み出せているかを評価基準とした。
今年は年齢制限もなくし、幅広い世代から、文化を起点に新たな価値や循環を生む人たちを選出した。今年、特に注目したのは、優れた作品や商品を生み出すだけでなく、産業構造や流通、人材育成、地域との関係まで含め、文化が続くための「仕組み」をつくろうとしている人たちだ。文化を持続可能なものにするには、個人の才能や作品だけでなく、それを支える基盤が欠かせない。アニメやゲーム、工芸、食、地域開発など領域は異なるが、文化を事業として成立させ、その価値を次へ循環させようとしている点で共通する。
また、このアワードでは京都で授賞式を開き、「文化」を軸に異なる領域の受賞者同士がつながる機会を設けている。これまでにも、受賞をきっかけに分野をまたぐ協働が生まれてきた。そうした出会いが一度きりで終わらず、新たな取り組みやつながりへと広がっていくことも、このアワードで大切にしたいことのひとつだ。
さらに特集後半では、「これからの文化論」と題し、日比野克彦、宮田裕章をはじめとする有識者に、これから文化のどんな側面に価値が生まれるのかを語ってもらった。文化とは何か、AI時代に人間が担う創造とは何かを問い直し、これからの文化のあり方を考える。
文化が経済を生み、その経済が次の文化を育てる。そして、まだ名前のない価値が社会に根づき、次の文化へ変わっていく。その循環を現場でつくる存在は、これまで以上に重要だ。その担い手が、文化起業家である。



