カルチャー

2026.09.28 14:30

生成AI時代に文化を稼ぐ力へ変える、新世代カルチャープレナーの戦略

今年も受賞者30組に加え、アドバイザリーボードや過去の受賞者らが集う授賞式イベントを、京都市とともに10月に開催予定。昨年は鮒鶴京都鴨川リゾートで実施し、授賞式やトークセッション、交流の機会が設けられた。

今年も受賞者30組に加え、アドバイザリーボードや過去の受賞者らが集う授賞式イベントを、京都市とともに10月に開催予定。昨年は鮒鶴京都鴨川リゾートで実施し、授賞式やトークセッション、交流の機会が設けられた。

Forbes JAPAN 2026年11月号は、文化の力で世界を駆ける「カルチャープレナー」たちを特集。文化やクリエイティブ領域の活動によって新ビジネスを展開し、豊かな世界を実現しようと試みる文化起業家を30人選出する企画で、今回で4回目となる。今年注目したのは、優れた作品や商品を生み出すだけでなく、流通や人材育成、地域との関係まで含め、文化が続いていくための基盤をつくろうとする実践だ。アニメやゲーム、工芸、食、地域開発など領域を越えて、文化を次の創造へと循環させる挑戦を紹介する。

文化やクリエイティブ領域で新ビジネスを展開し、豊かな世界を実現しようとするカルチャープレナーたち。今年注目したのは、文化を未来へとつないでいくための「仕組み」をつくる実践だ。


文化が、国の成長戦略として語られる時代になった。2026年7月に閣議決定された「日本成長戦略」では、コンテンツがAI・半導体、量子、航空・宇宙、創薬・先端医療などと並ぶ17の戦略分野のひとつに位置づけられた。日本発コンテンツの海外売り上げは2023年に5.8兆円。政府は2033年までに20兆円へ拡大する目標を掲げる。文化は、人や資本を動かす成長の源泉として認識され始めている。

だが、市場が大きくなれば、それだけで文化が豊かになるわけではない。作品がヒットしても、つくり手に利益が戻らなければ次は生まれない。工芸も担い手がいなくなれば途絶える。地域の祭りや食も、それを支える仕事がなければ残らない。生成AIの進化によって、何をつくるかだけでなく、何を価値とし、どんな背景や文脈を次代へ手渡すのかが、より問われるようになっている。

カルチャープレナーとは、文化起業家を指す。この特集では、文化やクリエイティブ領域の活動によって革新的なビジネスを展開し、豊かな世界を実現しようと試みる人たちのことをいう。カルチャープレナーは、単に文化を「売る」人ではない。技術や土地の記憶、作品、思想、コミュニティを社会や市場に接続し、事業をつくり、生まれた利益や人材、技術を再び創作や地域へ戻す。文化と経済がともに育つ循環を設計する経営者である。

こうしたカルチャープレナーの一部には、価値の源泉そのものを見直す動きも生まれている。本誌が2026年6月号で取り上げた「源流経営」は、その動きを切り出したものだ。素材や土地、歴史、生産工程まで踏み込み、市場やバリューチェーンを組み替える。文化資本や自然資本を競争力へ変え、文化を「残す」だけでなく、現代の市場で成立させようとする動きである。

次ページ > 受賞をきっかけに分野をまたぐ協働も

文=松﨑美和子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事