──「ときめき」は、日本独自の感性なのでしょうか。
川原:「ときめき」そのものは、人類共通の感覚だと思います。ただ、日本人はそれを身近に感じる感性を強くもっているんじゃないかと。だからこそ、そうした感性を価値にして世界に貢献していく。それは、カルチャープレナーの生き方とも重なると感じています。
近藤:こんまりメソッド自体、私が日本で生まれ育ったからこそできたものだと思うんです。片づけに「ときめき」という、ものすごくふわっとした判断基準をもち込んでいる。片づける前に家に挨拶をしたり、手放すものに「ありがとう」と伝えたりする。海外では「なぜ?」と何度も聞かれました。答えていくうちに、それが日本的なモノのとらえ方なんだと気づいたんです。いろんなものが効率化して便利になっているはずなのに、なぜか苦しい。そんな時代だからこそ、ものや家に感謝し、自分の心の動きやときめきを感じる。そのプロセスを通して、自分が本当に大切にしたいものが浮かび上がってくることが、受け入れられているのかなと思います。
──感性を、事業につなげるには?
近藤:私の場合、最初から片づけをビジネスにしようと思っていたわけではありません。まずは目の前のひとりに向き合って、その人が片づけによってどう変わったのか、どんな役に立てたのか。そういう経験をひたすら積み重ねてきました。その経験の先に、言語化があったんです。自分がやっていることを言葉にして、「どういう行動を取れば、どう変化するのか」を伝え続けてきた。それをさらに多くの人に届けるために、価値を「パッケージ化」したものが本でした。ただ、戦略を考えることはほぼなくて、私の場合は「ノー戦略」で存在しています(笑)。
川原:僕は「ノー戦略」に対して、「イエス戦略」です(笑)。特にこれからの時代に大事なのは、強みの違う人が組むこと。AIで何でもひとりで完結できるようになっても、それではひとりの枠を出ない。価値を深める人と、それを理解して広める人が組むことで、初めて生まれるものがあるんです。そして、価値あるものだからこそ、それが続いていくための仕組みをもつ必要がある。いいものをつくれば売れる、という幻想は手放して、価値を必要とする人に届けるところまでが自分たちの役割だと思っています。
僕はプロデュースを「愛・理解・接続」の3つで考えています。その人やモノを愛し、価値を理解し、それを必要とする人や社会につなぐ。この3つが揃うことで、才能や個性が生かされる仕組みができると思っています。


