食&酒

2026.10.03 14:15

増える「郷土料理」コンテスト 美食を地域の活力に

フランス・リモージュで開催された「シューファルシ」の世界選手権の様子

審査を進めるエルメシェフ
審査を進めるエルメシェフ(写真右)

コンテストのために世界の気鋭シェフが”素朴な郷土料理”を磨き上げるのを見た地元の若手シェフたちが刺激を受け、洗練されたシューファルシがレストランで提供されるようになるだけでなく、美食全般の底上げにもつながる。結果として郷土の食全体が世界から人を呼び込む力のある文化として成長していくという青写真だ。地元に根ざした企業、ベルナルドの社会貢献的な意味合いも強い。

advertisement

会場は同社の工場の一部を即席の厨房に改装した特別会場で、審査員は盛り付けの美意識、内部の構造的な緻密さ、調理技術、味のバランスと味付け、創造性と独創性の5つの審査基準に基づいて審査。優勝したのは、フランス代表のオリヴィエ・カイヨン氏だった。

授賞式は市民の台所として知られるリモージュ中央市場で行われた。地元の音楽バンドの演奏も入り、名産のリムザン牛を扱う精肉店やチーズ店、鮮魚店など約40店がひしめく会場は立錐の余地もないほどの大賑わい。まさに世界選手権にふさわしい熱狂ぶりは、今後の「美食の街」としてのリモージュの可能性を強く感じるひとときとなった。

ソローニュやアルザスでも

郷土料理コンテストを軸に、美食のまちづくりを行うという同様の取り組みは他にもある。

advertisement

例えば、フランスの秋の味覚として知られるジビエ。かつて王侯貴族の狩猟場として賑わったフランス中部のソローニュでは、フランス王ルイ14世のために生み出された伝統料理「リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル」の国際コンクールが2016年から行われ、24年は東京「トゥール・ダルジャン」の柴田敬祐スーシェフが世界1位に、25年は東京「ア・ターブル」の中秋陽一シェフが世界一に輝いた。

発起人のブローシェフと優勝した中秋シェフ、中秋シェフのリエーブル・ア・ラ・ロワイヤル(C)Stéphane Riss
発起人のブローシェフと優勝した中秋シェフ、中秋シェフのリエーブル・ア・ラ・ロワイヤル(C)Stéphane Riss

ジビエの産地としてソローニュと双璧をなすアルザスでも、昨年11月、第一回「ジビエパイ包み世界選手権」が行われた。13世紀、神聖ローマ帝国皇帝の手によって作られた歴史ある都市、カイザーベルグにあるミシュラン二つ星「ル・シャンバール」のオリビエ・ナスティシェフが発起人となりスタートしたものだ。

フランス版人間国宝としても知られるMOF受章者であるナスティシェフは、アルザスの食文化の発信に積極的で、MOFのネットワークをいかして豪華な審査員を招聘し、ジビエ文化を広く発信したいという思いがある。

次ページ > 日本人シェフの参加も刺激に

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事