「3つの運用体系」で驚異的な効率化を実現
楽天では、モデルの作成者や使用者、そして生成物の利用目的に合わせ、ユースケースを「汎用タイプ」「特化型タイプ」「アセット開発タイプ」という3つの体系に分類して運用を進めている。
ひとつ目は「汎用タイプ」で、楽天グループ共通で利用するビジュアルの効率化とブランドイメージの統一を担う運用体系だ。同社では従来から「Rakuten Illustration System」という自社独自のイラスト制作ルール(Figmaで関節ボーンを動かすシステム)を運用していたが、ツールの操作やデザインの専門知識を要することが課題となっていた。
「カスタムモデルを構築したことで、専門知識がなくても被写体をプロンプトで入力するだけで、ブランド統一のイラストが容易に生成できるようになりました。FAQやサービスの使い方ページなど、グループ共通で表示すべきタッチポイントへ迅速に配給できています」(吉田氏)
この汎用モデルの導入により、イラスト1点あたりの平均制作時間は1.5時間から0.42時間へと大幅に縮小し、実に72%の工数削減を達成した。
2つ目は「特化型タイプ」で、特定プロジェクトや限定キャンペーン固有のトーン&マナーを学習させて利用する運用体系だ。15歳から25歳までの人を対象とした楽天の若年層向けメンバーシッププログラム「楽天学割」のイラスト制作では、制作時間を5時間から0.9時間へ82%削減。また、先行制作された動画のワンカットをAIに学習させ、静止画素材を同一のトーン&マナーでスピーディに生成することに成功した。
楽天市場で販売している楽天オリジナルブランドの紙おむつの商品パッケージにもAdobe Firefly カスタムモデルで生成した画像が使われている。紙おむつをはいた赤ちゃんの写真は露出規制の問題で通常の画像素材サービス等での手配が難しく、従来であれば撮影し素材を作るしかなかった。しかし権利リスクのない固有ビジュアルを生成し使用することで、以前は撮影準備を含めて45時間要していた作業がわずか0.16時間(約10分)となり、99.6%の削減という驚異的な効率化を実現した。


