真空管とスイッチの時代からエージェントの時代へ
マクシメンコは、量子コンピューティングの現状を古典コンピューターの黎明期になぞらえる。
「以前、私はこれを1940年代、1950年代の古典コンピューターの時代にたとえていました。真空管を操作し、スイッチでコンピューターを動かすには、多くの専門知識が必要でした」。
彼の話では、わずか半年前までの量子コンピューティングがまさにそれだった。費用がかさみ、何かを走らせるのがきわめて難しい。それが今では、エージェント層が低レイヤーの複雑さの大部分を引き受けてくれる。そして場合によっては、エージェントがHaiqu自身のソフトウェアに、同社が意図していなかった使い方を見つけることもある。より小さなサブルーチンを別の組み合わせで使い、ワークフローを高速化するのだ。
誰が科学をやれるのか、その敷居も下がる。Haiquのあるユーザーは今、週末になると、半ば思いつきの「後回しにしていたアイデア」にエージェントを走らせているという。通常なら研究費や大学院生の年月を費やすことなど絶対にないたぐいのアイデアだ。
「今では、ほとんど無料でできます。そして、こうした小さなアイデアが実際に興味深い結果につながり、それがやがて主要な研究の道筋にまでなることもあるのです」。
落とし穴
もちろん、明らかな裏面もある。負の側面といってもいい。専門家でなくてもゲノムを読み込み、変異を導入し始められるツールは、新しい抗生物質を生み出すためだけに役立つわけではない。悪意ある使い方をされる可能性もあり、悪い人の手に渡れば危険になりかねない。
マクシメンコはすでにこの問題に直面している。最先端AIモデルの安全システムは、ゲノムデータで特定の方向に進もうとすると作動する。「化学シミュレーションにこうしたシステムを使う場合も、すぐにガードレールにぶつかります」と彼は言う。
「これは難しい問題です。一方では、これは正当な研究であり、有害なものではありません。しかし他方では、これを完全に有害な目的に使う人もいるからです」。
最も強力な最先端モデルを誰が使えるのか、そしてオープンウェイトのモデルが同じくらい高性能に、あるいは同じくらい厳重に守られたものになるのかは、「業界にとって目下の大きなトレードオフ」だと彼は言う。
「ですから、1年後に私たちがどこにいるのかはわかりません」。
加速は現実のものだ。だからこそ、量子物理学者がチームミーティングでAGIという言葉を口にするようになった。ここから先どうなるかは、量子にとっても、科学にとっても、その両方を囲むガードレールにとっても、まだ何も決まっていない。
NEXTのマクシメンコへのインタビュー全編はこちらで視聴できる。


