なぜなら、国家資格を得るには累計12か月の船上での実務経験が必要だからだ。国指定校に所属して練習船を使った乗船実習を経験しなければ、資格取得が事実上できない。これは、国指定校を卒業しなければ国家資格が得られない医師や看護師とよく似ている。
仮にいったん一般の大学に進学してしまえば、もう一度学び直すには、かなりの年月と費用が必要となる。だからこそ、小学校などの早い段階で船や港の仕事に触れる機会を持つことが、極めて重要なのだ。
神戸市主催のカーフェリー親子見学会
7月25日、神戸と宮崎を毎日往復している「宮崎カーフェリー」が運航する「フェリーろっこう」を使って親子見学会が開かれた。大変な酷暑の日であったが、小学1年から中学3年までの子供たちと保護者ら29組、67人が参加した。
使われた「フェリーろっこう」は、全長が194メートル、総トン数は1万4006トンという大型のフェリーで、2022年10月に就航した新しい船だ。トラック163台と乗用車81台を積み込むことができ、関西と九州を結ぶ大きな海運の動脈としての役割を果たしている。
もちろん乗船料を支払えば一般客としてこの船に乗ることはできる。だが、今回の見学会は単に移動の手段として乗船するのではなく、船の役割や仕事が学べるまたとない機会だ。乗船前に旅客ターミナルの待合室に集まった参加者たちは、船舶の速度や大きさについての基礎知識をクイズ形式で学んでから、乗船口への通路を軽やかな足取りで進んだ。
見学会を主催したのは神戸市で、宮崎カーフェリー側の全面協力の下で行われた。船内では個室の客室やレストランなどを訪れた子供らは、宮崎カーフェリーの社員の説明に聞き入っていた。
上部の甲板から展望デッキへ出ると、神戸港の風景も見渡せる。子供たちだけでなく親たちも少し興奮気味だった。
最後の見学場所は、トラックや乗用車を駐車させる車両甲板だった。鋼鉄製の巨大倉庫のようなガランとした空間が広がる。ここに夕方には宮崎に向かう大型のトラックが100台以上整列して並ぶのを想像するのは、子供たちには新鮮だったに違いない。


