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サイエンス

2026.11.07 18:00

動物界最強の「ものまね王」コトドリがチェーンソーや赤ちゃんの声を再現する理由

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なぜコトドリはこれほど精巧に音を模倣できるのか

他の鳴禽類(めいきんるい)と同様、コトドリには鳴き声を後天的に学習する習性がある。本能的に備わっている鳴き声だけに頼らず、模倣や記憶、実践を通して鳴き声を身につけていく。この習性によってコトドリは、非常に柔軟性の高い学習能力を持つ、比較的限られた鳥の仲間に属している。同等の能力があるのは、オウムを含むほんの数種の鳥だけだ。

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こうした鳥が、鳴き声のピッチやタイミング、トーンを細かくコントロールできるのは、鳥類特有の発声器官である「鳴管(めいかん)」の高度な筋制御によるものだ。

また、この件に関しては、認知能力も大きく関わっている。詳細な音響テンプレートを頭に保存し、正確に再現する能力は、この認知力によって定められているからだ。

しかし、どういう仕組みで音が模倣されているかという問題よりも、より興味深いのは、なぜこれほどの労力を使って完璧な模倣をするのか、という理由の部分だろう。この疑問については、2022年に『Evolutionary Ecology』に掲載された論文が、説得力のある答えを提示している。「コトドリにおける音の模倣は、性選択と深く結びついている」とする説だ。

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コトドリのオスは、体の動きと音を組み合わせた、非常に凝った求愛ディスプレイ行動を行なう。こうしたディスプレイ行動の際に、オスはさまざまなタイプの鳴き声をランダムに繰り返すことはしない。実際、特定の音を特定のタイミングで発していることが、この論文を書いた研究チームの観察で判明した。

このディスプレイ行動の一つの要素が、研究チームが「Dソング」という名で呼ぶ部分だ。「Dソング」を歌っているあいだ、オスは、他の複数の種の鳥が上げる警戒の鳴き声を模倣する。これにより、さまざまな種の鳥が警戒して騒いでいる事態が起きているような音の錯覚を作り出している。通常、異なる種の鳥による鳴き声が入り乱れる混沌とした状況は、鳥たちの集団が、捕食者に反応した時に起きるものだ。

この研究では、コトドリのDソングの80%近くに、他の3つの種の警戒を呼びかける鳴き声が含まれていたことが判明した。しかし特筆すべきは、多くの予想に反して、これらの模倣された鳴き声を本来発している種が、その環境に多く生息している種というわけではなかった点だ。しかも、出現頻度が非常に低い鳥でもなかった。実際には、コトドリが絶えず模倣していたのは、彼らと共に餌を探していることが多い種だった。これは、実際に捕食者に対して擬攻撃(天敵を追い払おうとする行為)を行う集団にいる可能性が最も高い鳥たちだ。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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