欧州

2026.07.27 07:00

ロシアの中距離弾道ミサイル「オレシニク」、有用性より西側への威嚇目的か

隣国ベラルーシに配備されるロシアの新型中距離弾道ミサイル「オレシニク」。2025年12月30日撮影(Russian Defense Ministry/Anadolu via Getty Images)

ウクライナの民間調査会社ダラス・アナリティクスによる評価も、技術的な観点から同様の結論に達している。筆者の取材に応じた同社の担当者は「西側諸国の情報機関は、クレムリンの超大国としての姿勢と、実際の戦場での有用性を切り離して考える必要がある」と指摘した。

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同社は、オレシニクは従来の「驚異の兵器」ではなく、精度に大きな制限があり、前線の状況を一変させる可能性は低い高価なミサイルだとみている。むしろ、「オレシニクの真の標的は西側諸国」であり、ロシアは同兵器を用いて事態の悪化をほのめかしつつ、国内に向けては自国の軍事力を誇示しようとしているという。同社は、オレシニクを決定的な戦場兵器ではなく、戦略的な信号発信の手段だと分析しているが、これは他の軍事アナリストの見解ともおおむね一致している。

オレシニクは「新型」ではない?

その技術的構造は、この評価を裏付ける上で重要な要素となっている。ロシア国営ノボスチ通信によると、プーチン大統領は6月4日、国際通信社の編集者らと会談した際、オレシニクの発射のうち1回は単に標的を破壊するためではなく、性能データを収集することを目的としていたと述べた。

先述のダラス・アナリティクスが分析した文書によると、オレシニクはロシアが主張するような完全に新しい設計ではないことが示唆されている。実際には、1970年代に設計されたGU503姿勢制御装置を中核とする、ソビエト時代の誘導システムを踏襲している。ナビゲーションシステムはこの部品を中心に構築されているため、これを交換するには単純な改修ではなく、大幅な再設計が必要になる。同社の分析によると、高度な超小型電子技術に対する輸出規制により、近代化が複雑になっているほか、旧式の試験装置により、ミサイルの誘導システムの検証や改良が困難になっている。

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極超音速では、わずかな誘導誤差でさえ重大な影響を及ぼす。わずか0.5度の偏差でも、ミサイルは目標から数十キロ外れる可能性があると推定されている。

これらの調査結果は、オレシニクの性能が評判ほど高くない理由を説明するとともに、同兵器を次世代ミサイルとして位置付けているロシア側の主張に疑問を投げかけている。

とはいえ、通常目標に対する限界はあるものの、オレシニクは依然として生存性が高く、核弾頭を搭載できる中距離弾道ミサイルであり、北大西洋条約機構(NATO)の意思決定時間をわずか数分間にまで短縮する可能性を秘めている。そのため、通常兵器としての影響力が限定的であっても、強力な戦略的威嚇手段となり得る。ウクライナ軍がロシアの戦争の代償を増大させるにつれ、オレシニクの真価は戦場ではなく、西側諸国にもたらす不確実性においてこそ発揮されるのかもしれない。

(forbes.com 原文)

翻訳・編集=安藤清香

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