
#01
日本企業の「静かなる再興」——価値を見える化するNECの挑戦
多くの人が気づかぬうちに、日本の大手企業は力強い再生を遂げている──。その姿を「静かなる再興」とよび、国際的に評価するのは、『シン・日本の経営』著者のウリケ・シェーデ教授だ。
NECの「新たな羅針盤」は、日本企業全体に光を当てることができるのか。Forbes JAPAN Web編集長・谷本有香がファシリテーターを務め、シェーデ教授とNECブランドエクイティエグゼクティブ 角谷貴士と語り合った。
READ MORE
“ブランドは感覚ではなく資本”
その「見える化」が企業価値を動かす
SCROLL
企業価値を支えるものは何か——。
産業構造が急速に変わるいま、企業価値はもはや財務諸表の数字だけでは測れません。
顧客や社会との信頼、人材、技術力、ビジネスモデル――そして、これらを通じて提供される価値によって築かれる「ブランド」。制度会計には現れない無形資産こそ、企業競争力の中核となりつつあります。
しかし、日本企業では企業価値に占める無形資産の比率が諸外国と比較して依然として低く、その把握や活用の遅れが持続的な成長を阻む要因と指摘されています。
NECの Brand Equity Management(BEM)は、無形資産である「ブランド」と、それを支える非財務資本の「ブランドエクイティ」に着目し、この実体のない価値を構造的に捉え、定量化する取り組みです。
“見えない価値を高め、見える化し、活かす”。その仕組みを整えることで、ブランドを企業成長を牽引する確かな経営資源へと変えていきます。
01
ブランドが企業価値向上に
貢献していることの証明
02
ブランド価値の
他社比相対評価
03
「意味のある」ブランディング
活動の実績と効果測定
01 ISSUE
02 INSIGHT
03 APPROACH
変化する市場で「選ばれ続ける」ことの難しさ
企業経営を取り巻く3つの市場(資本市場・事業市場・人材市場)、そして社会環境は、かつてないスピードで変化しています。それに伴い、ブランドの価値を築き上げることは、これまで以上に難しくなっています。
求められるのは、それぞれの市場で競争優位を確立し、“選ばれ続けるブランド”であることです。具体的には、以下の4つの領域でその真価が問われています。
• 事業市場:環境変化に合わせ、顧客・パートナーとの関係性を最適化し続けられるか
• 人材市場:優れた人材が「集まる・育つ・留まる」必然性を提示できるか
• 資本市場:事業市場や人材市場で優位に立ち、資本コストを上回るリターンを生み出し続ける“仕組み”を備えているか
• 社会:広く社会の声(民意)を味方につけ、将来の顧客・パートナー・人材となる“関係人口”を拡大し、不確実な時代を戦い抜けるか
しかし、こうした高度な要件が求められる一方で、「ブランド」や「ブランドエクイティ」は実体を持たないがゆえに曖昧に扱われ、企業によって価値最大化への取り組みや活用度に大きな差が生まれています。
ブランドという「目に見えない資産」を構造的に捉える
「ブランド」や「ブランドエクイティ」は実体を持たないものの、企業内部で確かに価値を生み、企業の競争力を支えています。そこでBEMでは、制度会計のフレームを応用し、曖昧に扱われてきたこれらの価値を独自の視点で可視化しました。
この構造の中心にあるのが、顧客・パートナー・社員などステークホルダーとの「関係性の価値」を意味する関係資本です。BEMではこの“ボンド(つながり)”こそが、「ブランドエクイティ」の中核であると捉えています。
財務諸表のバランスシートが、「誰(他人/自己)からのお金が、どのような価値に変わるのか」を表すのに倣って、「誰(社外/社内)との関係性が、どのような価値に変わるのか」を整理できるのではないか――。こうした発想から生まれたのが 「無形資産のバランスシート(I-B/S)」 です。
このフレームは、金額換算できる価値とできない価値の全体像をシンプルに理解し、ブランドエクイティを戦略的にマネジメントしていくうえでの起点となります。「関係資本」が多様な無形資産を支える共通基盤であり、その手前にある「関係人口」は、「関係資本の質」を左右する重要な源泉であることが理解できます。
ブランドを測り、企業経営へつなげる
BEMでは、「ブランド」や「ブランドエクイティ」を定量化し、活用可能なデータへと変換するノウハウを構築しています。事業市場や人材市場における戦略立案を支えるとともに、ブランド価値を継続的に高めていくための「仕組みづくり」も推進しています。
1. Brand Valuation(ブランド価値算定):M&Aなどで用いられる、企業価値評価の方法のひとつであるPPA(Purchase Price Allocation)を応用し、ブランドが将来生み出す「期待収益」を算出する独自のロジックを開発。ブランドの金銭価値を可視化することで、経営資産としての位置づけを明確にします。
2. Brand Mass Index(BMI、ブランドの現在地把握):事業市場における「関係資本」を定量化し、他社比較によってブランドの現在地を把握する独自の分析モデルを運用。ステークホルダーから「選ばれ続ける力」を測る、ブランドの“健康診断”として機能します。マーケティングデータとの連携により、事業戦略の高度化も支援します。
3. 「ブランド関係人口」の拡大(未来の資本づくり):多様なセクターとの共創や次世代人材の育成など、企業にとっての“関係人口”を増やす取り組みを推進。さらにテクノロジーを活用し、これらを将来の良質な関係資本へと転換する仕組みづくりに挑みます。
そして重要なのは、これらの取り組みから得られたデータを社内へ開示し、組織全体で共有することです。可視化されたデータが社員一人ひとりの意識と行動を変え、「自己関係資本」を高める。その積み重ねこそが、ブランド価値を引き上げる最も確かな力になります。

#01
多くの人が気づかぬうちに、日本の大手企業は力強い再生を遂げている──。その姿を「静かなる再興」とよび、国際的に評価するのは、『シン・日本の経営』著者のウリケ・シェーデ教授だ。
NECの「新たな羅針盤」は、日本企業全体に光を当てることができるのか。Forbes JAPAN Web編集長・谷本有香がファシリテーターを務め、シェーデ教授とNECブランドエクイティエグゼクティブ 角谷貴士と語り合った。
READ MORE

#02
AI技術が急速に社会実装される時代において、企業が構築すべき「信頼」の本質が根本的に変わろうとしている。従来の財務指標では測りきれない無形資産の価値をどう可視化し、ステークホルダーからの信頼をどう獲得するか——。
データサイエンスやAI、経営科学、未来学などに精通する麗澤大学教授 小塩篤史と角谷貴士が、従来の信頼概念を覆す「2軸構造」の重要性と、日本企業が持つ独自の可能性について語り合った。
READ MORE

#03
「ブランディングって、結局企業価値にどう貢献してるの?」——多くの企業でブランディング担当者が直面するこの問いに、NECは独自のアプローチで答えを出そうとしている。
M&A査定で使われる会計手法を応用し、ブランドによる将来期待収益を算出することでブランドの価値を証明しようという革新的な取り組みだ。Brand Equity Managementが目指す“意味あるブランディング活動”とはどのようなものなのか、その実現への道筋を聞いた。
READ MORE

#04
ハードからソフトへとものづくりが移行し、BtoB企業の存在や価値が見えづらくなるなか、未来の成長を支える若年層との接点づくりは大きな課題だ。採用競争も激化するなか、どうすれば若年層を惹きつけるブランドになれるのか。
NECが注目するのは、若年層を「採用候補」にとどめず、将来の「顧客」や「パートナー」「投資家」も含めた「未来のステークホルダー」として捉える視点だ。
一方通行のコミュニケーションではなく、体験を通じて信頼関係を築く——その実践をブランドエクイティマネジメント室の四方作刀志に聞いた。
READ MORE

#05
「データを集めました、分析しました——でも、使われない」。データ活用に取り組む多くの企業が抱える課題だ。この壁を打ち破るため、BEMの基盤となるブランドデータの収集・分析・活用を担うのが、植村優哉である。
ダイレクトマーケティング、ビジネスプロセスアウトソーシング、新規事業開発と経験を重ねてきた植村は、「集まったデータで何かを分析する」のではなく、「"意味のあるブランディング"につながるデータとは何か」という視点で社内を巻き込んだブランドデータ活用に取り組んでいる。
READ MORE