世界に誇れる時計を日本の技で生み出せ
クレドールの製作現場に学ぶ
チャレンジスピリット
書:国際的な活躍をされている書家、金澤 翔子氏
「クレドール」は、1974年に誕生し、今も成長し続けるセイコーの上位ブランドのひとつ。長年培われてきた高度な技術に日本ならではの美意識を注ぎ込み、エターナルな価値の創出に成功した、誇れる「ジャパンメイド」の時計である。
日本で生まれた上質な時計──その代名詞的存在ともいえるのが「クレドール」。1974年に誕生し、多くの人から愛され続けるセイコーのハイエンドブランドのひとつだ。クレドールというと、華やかなジュエリーウォッチを思い浮かべる人も少なくないことだろう。
黄金の頂きという名を持つ「クレドール」──それは日本人として世界に誇れるジャパンブランドだ。今回スポットライトをあてたのは、時計製作の超絶技巧と、それに全力を注ぐ名工たちの姿。志操堅固のハイブランドとして確かな地位を築き上げるに至った、その足跡をクローズアップする。
時計を製作するには、大きく分けて設計、製造、組み立てという重要な工程がある。どの部門が疎かになってもいい時計を作ることはできないのである。ここでは、その中でもとりわけ高度な技術を必要とする「スケルトン」について取り上げたい。
セイコーが手がけるハイエンドなブランド「クレドール」の中で、デザインの個性が群を抜いているのは「リネアルクス」だ。ひと目でこのシリーズとわかるアイコニックな造形は、1985年に誕生した「リネアクルバ」のDNAを受け継いでいる。連載第5回となる今回は、35年の時を経てなお変わらないクレドールのエレガンスの系譜を追った。
古今東西の人々の心をとらえる漆器や陶磁器、七宝、彫金など、日本には優れた工芸品がある。和の美意識をよく知り、親しむことは、ライフスタイルが欧米化した現代の日本では、いまや文化になっているともいえる。セイコーの最上位ブランドのひとつ「クレドール」は、日本工芸の粋を取り入れ、時計の新たな可能性を切り拓いてきた。果たして時計は、時を刻む美術品たり得るのか。
ブランド誕生の話、ジュエリーウォッチの話、さらにはデザインや伝統工芸とのコラボレーションなど、バリエーションの多い高級コレクションには、たくさんの逸話が存在した。その最終回を締めるのは、企画者として現場に関わり、その後も管理職として長きに渡りクレドールブランドを見守ってきた、セイコーウオッチ 企画開発本部 副本部長の萩原康則氏。クレドールとは、どういったブランドなのか?フォーブスジャパン Web編集部 編集長、谷本有香が話を聞いた。