日本の企業が世界に出るとき足りないものは何か? そのひとつがコミュニケーション、つまり伝える内容や伝え方だとしたら、どうすれば乗り越えていけるのか?
未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。
Vol.52配信は、前回に引き続きACAフットボール・パートナーズ CEO 小野寛幸。彼らが描くのは、欧州をアジアをサッカーで繋ぎ、日本を含むアジアのサッカーをさらに発展させることだ。
中道:小野さんはACAフットボール・パートナーズを創業され、ベルギープロリーグ2部のKMSKデインズをコアチームに、1シーズン終えられました。加えて、今年2月にはスペイン4部(※買収当時、2023-24シーズンは5部所属)のトレモリーノスCFを買収。
前回は日本人が海外のクラブに参画していく難しさやご苦労について伺いました。そのなかで、日本のサッカーも強くしていきたいということでしたが、小野さんは今の日本のフットボールをどのように見ていますか。
小野:直近のアジアチャンピオンズリーグで浦和レッズが3度目の優勝を果たしましたが、日本のサッカーは間違いなく成長して全体の底上げができていると思います。また、サッカービジネスとしても、きちんと経済圏ができていると見ています。ただ、ベルギーリーグやプレミアリーグにはさまざまな国籍の選手がいますが、Jリーグはまだ日本人が多く偏りがある印象です。
プレミアリーグとJリーグは始まった時期がほぼ同じで、当時は日本の年俸が世界一だったので、ブラジルほか各国から多くの選手が来ていました。差が付き始めたのはデジタル時代以降です。プレミアリーグは放映権をはじめビジネスとしての拡張性を武器化しましたが、Jリーグは自国の経済圏が強固であるがゆえにそこに固執してしまいました。
中道:プレミアリーグが始まった当時、僕はイギリスにいたのですが、熱中させるための仕組みがすごかった。BBCが毎週土曜日に放映する「マッチ・オブ・ザ・デイ」というスポーツ番組で、イングランド・レスター出身の元サッカー選手ゲーリー・リネカーが司会で、毎回それなりの人たちが出演して、どのプレーがどんな風に良かったとか悪かったとか、本気で議論しながら分析するんです。僕らはそれを見て総毛立ち、自分のプレーに落とし込もうとしました。
僕の勝手な持論ですが、こういうサイクルがないと絶対に強くならないよなって。日本は話題性や視聴率優先でサッカーとは関係ない人が出ていて、視聴者が本当に聞きたいことが聞けていないんじゃないかって思います。
小野:日本はサッカー以外にも野球やゴルフなど娯楽の選択肢が多くて、入口から分散していますよね。実際にニールセンのマーケティングレポートで、アジアの中でサッカーに関心がある層は、日本だけ3割を切っています。ベトナムは7割を超えていて、人口が3億人近いインドネシアも同様です。
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