爬虫類に詳しくない人ですら、本能的に理解している──ワニのテリトリーは、非常に古くからの掟によって支配されていることを。ワニはそこで、ほとんど身動きせずに待ち構えており、水面は静まり返っている。そしてほんの数秒のうちに、巨大な何かが(獲物と共に)水面の下へと消えていく。
ワニが不気味に感じられるのは、獲物を殺すからではない。獲物を殺すのは、ライオンやサメ、オオカミも同じだ。不気味なのは、ワニが自身の2倍の大きさの動物を水中に引きずり込み、「デスロール」と独自の名称を与えられる獰猛な技を使って、相手の体をバラバラにする能力を備えている点にある。
それでも、生物学的な観点から見ると、ワニは無秩序な殺し屋ではない。彼らが狩りに成功するのは、従来の意味でのスピードに依存しているからではないし、単に力が強いからでもない。彼らは、ステルス性、爆発的な加速力、並外れた咬合力、そして、水そのものの物理的特性を組み合わせることで、地球上でも最も効果的な捕食システムの一つを作り上げているのだ。
ワニは、機敏な獲物をどうやって仕留めるのか
ほとんどのワニは、陸上では驚くほど凡庸な動きしかできない。健康なレイヨウ、シマウマ、ヌーなら、一定の距離を走れば簡単にワニを振り切れるだろう。人間でさえ、身体的に多くの点で劣っているにもかかわらず、ワニよりはるかに機敏に動くことができる。そしてそれこそが、陸上の開けた場所で獲物を追う狩りを、ワニがめったに行わない理由だ。
代わりにワニは、動物たちが抱える、最も古く普遍的な弱点の一つを利用する。すなわち、「水を飲む必要性」だ。河川や湖、ぬかるんだ岸辺が狙いどころだ。水を飲もうとする動物は、ほんのわずかな時間であっても、何らかの形で警戒を緩めざるを得ない。ワニは水中に身を潜めて、その姿をほとんど隠し、目と鼻孔だけを水面から出す。そして待つ。ひたすらに待つ。
ワニは瞬発的な加速に優れており、襲い掛かる時は驚くほど速い。強力な尾の動きが体を前方へと押し出し、獲物がまともに反応する間もなく、恐ろしい力で顎が閉じる。しかし、ワニが生体力学的に並外れているのは、その後の行動だ。
2012年に学術誌『PLOS One』に発表された研究では、現生のワニ類の全23種(クロコダイル科、アリゲーター科[カイマン亜科を含む]、ガビアル科)を対象に、咬合力と歯圧を測定した。その結果、ワニ(特にクロコダイル科)は、信頼できる記録がある現生動物のうちで、最も強い咬合力を持つことが明らかになった。
クロコダイル科に属する大型のイリエワニ(学名:Crocodylus porosus)は、1万6000ニュートンを超える咬合力を発揮した。これは、2階建てバスを押し倒す力に相当する。
同研究では、歯圧の測定も行った。すなわち、ワニの歯という、比較的小さな表面積によって集中的に発揮される力の大きさだ。ワニ類の歯は円錐形で細いため、小さな点に莫大な圧力が集中する。鋭い歯で獲物の肉を切り裂く哺乳類の捕食者とは異なり、ワニは、噛みついたら離さない能力を進化させた。一度その顎が閉じれば、逃れることは極めて困難だ。
水中では、この優位性がさらに高まる。ほとんどの哺乳類の強みは、足で地面を押し、「てこ」の作用で力を生み出すところにある。しかし、水中深く引きずり込まれると、それらの利点はたちまち失われる。足は滑り、バランスを崩し、パニックに陥る。一方、ワニにとって水中は、自分の力を発揮するのに完璧な場所だ。



