ここ数週間、イーロン・マスクの言動をめぐって、暗号資産市場は激しい乱高下に揺れている。
現在、ビットコイン価格は6万ドルを辛うじて上回る水準まで下落しており、2025年10月に付けた過去最高値から50%以上も値を下げているのが現状だ。
そんな中、近く予定されているスペースXの新規株式公開(IPO)が、ビットコイン価格を動かす「次の真のカタリスト(触媒)」として名指しされている。
暗号資産のマーケットメイカーであるウィンターミュートのアナリストらは、Xへの投稿で次のように指摘している。「次の真のカタリストは、米国時間6月12日に予定されているスペースXの上場だ。これは個人投資家の購買意欲やリスク許容度を測る格好のバロメーターになる。売り出し分が順調に消化されれば市場にとって好材料となるが、需要の枯渇が見えれば市場全体が一気に冷え込むだろう」
ブルームバーグが匿名の情報筋の話として報じたところによると、投資家の購買意欲は極めて旺盛なようだ。スペースXのIPOにはすでに定員を大幅に上回る買い注文が殺到しており、複数の機関投資家がそれぞれ約100億ドル(約1兆6000億円)以上に上る大口の購入申し込みを入れているという。
億万長者のイーロン・マスクが率いるスペースXの株式は、11日に公開価格が決定し、12日から取引開始となる予定だ。なお、マスクはこのIPOによって史上初の「トリリオネア(兆万長者、総資産1兆ドル超えの富豪)」の座へ上り詰めようとしている。
これまでに想定をはるかに上回る規模のビットコインを保有していることを明かしたスペースXは、今回5億5560万株を1株あたり135ドルで売り出す。これにより同社は評価額約1兆7500億ドル(約280兆円)で約750億ドル(約12兆200億円)を調達する計画だ。
ChatGPTを開発するOpenAIや、Claudeを手がけるアンソロピックがスペースXの背中を猛追するなか、過熱するAI投資ブームという巨大な引力が市場から資金を急速に吸い上げている。市場の一部では、これら3社の大型IPOが間近に迫っていることや、今月上旬にグーグルの親会社アルファベットが800億ドル(約12兆8000億円)規模の資金調達計画を発表したことが、今回のビットコインの価格急落を招いた要因だと非難する声も上がっている。
トレード・ネーションのシニア市場アナリストであるデビッド・モリソンは、取材へのメールで次のように指摘している。「投資家のスポットライトがAI関連に完全に集中したことで、暗号資産市場の熱気が全体的に失われ、結果として暗号資産からの資金流出を招いた」
「現在の焦点は、5日に半導体株をはじめとするテック株全体が急落したことを受けて、投資家たちが今後どのようにポジションを構築していくかという点だ。12日にスペースXのIPOという一大イベントが控えていることを考えれば、この動向の重要性は極めて高い」



