天文ファンならきっと、日が沈んでまもない西の空で毎夕繰り広げられている2026年屈指の見逃したくない天体ショーをすでに楽しんでいることだろう。宵の空にひときわ明るく輝く2つの惑星、金星と木星が今、少しずつその距離を縮めているのだ。最も接近するのは6月9日(火)。その日、隣り合う両惑星の間隔は腕をまっすぐ前に伸ばして立てた親指の幅(約2度)よりも狭く、ほとんど触れ合っているかのように見える。
観測のポイント
6月9日の金星と木星の見かけの距離は、わずか1.6度まで近づく。だが、両惑星は6月4日から14日まで常に5度以内の距離で寄り添って輝いているので、宵の空が晴れている日は外に出て観察するのがおすすめだ。
見ごろは日の入り約45分後(東京なら午後7時41分)から1時間余りの短い間、位置は西の低空となる。

両惑星の右下側、より地平線に近いところには、水星も光っている。3つの惑星の「パレード」も併せて楽しんでほしい。また、6月17日になると金星と木星の間隔は離れるものの、三日月が3惑星に加わって見事な眺めを演出する。
壮観な「錯覚」
この金星と木星の大接近は肉眼で見られる壮観な天体ショーだが、宇宙空間で実際に両惑星の距離が縮まっているわけではない。今週、金星は地球から約1億8000万km離れた位置にあり、木星はさらに遠く、約9億kmの彼方にある。
つまり、2つの惑星が夜空で「キス」をしているかのように接近して見えるのは、あくまで地球からの見かけ上の話でしかない。これは、各惑星がほぼ同じ平面上(黄道面)を公転しているため起こる現象で、「合(会合)」と呼ばれる。

今回の金星と木星の「合」、見逃したくない理由は
惑星が夜空で接近して見えるのは珍しいことではないが、今回の金星と木星の大接近は、両惑星が非常に明るく輝いているためとりわけ見ごたえがある。
「宵の明星」の金星は、夕暮れの空にマイナス4.0等の鮮やかな輝きを放ち、隣り合う木星と印象的なコントラストを生み出す。木星はマイナス1.9等で、金星のほうが約7倍明るい。木星が地球の10倍以上の大きさを誇るのに対し、金星は地球よりもやや小さい天体だが、木星と比べて地球にずっと近く、しかも現在は地球との距離が近づきつつあるため、はるかに明るく見えているのである。金星の表面を厚い雲の層が覆い、太陽光をよく反射していることもまた、その輝きを際立たせている。



