「Zhipu(智譜)」として知られる中国のAIモデル開発企業「Knowledge Atlas Technology(北京智譜華章科技)」の株価が急伸している。同社は、今年1月の香港証券取引所上場時こそ市場の反応が鈍かったものの、その後の着実な技術力向上が評価され、株価は今年に入ってから約1000%上昇した。これを受け、同社会長である劉徳兵の資産は224億ドル(約3兆5800億円)へと拡大した。
近年、中国ではAIブームとそれに伴うIPO(新規株式公開)の活況によりビリオネアが相次いで誕生している。その中でも、50歳の劉は最もリッチな人物となっている。フォーブスの「リアルタイム・ビリオネア・リスト」によれば、彼は中国で15番目の富豪だ。また、Zhipuのチーフサイエンティストであり、清華大学でコンピュータサイエンス教授を務める唐杰も、保有株式の評価額が50億ドル(約8000億円)に達し、ビリオネアの仲間入りを果たした。なお、同社の広報担当者はコメントを控えた。
投資家がこぞってZhipu株を買い進めている背景について、調査会社86リサーチのアナリスト、チャーリー・チャイは、「同社がもはや小規模で存在感の薄い企業ではなく、テック業界を代表する有力企業へと成長したと市場が評価しているためだ」と分析する。北京に本社を置くZhipuは昨年、国家安全保障上の懸念を理由に米政府のブラックリストに追加され、AIモデルの開発競争の中で同社が優位性を維持できるのかを疑問視する声が広がっていた。また、5億5800万ドル(約893億円)を調達した今年1月のIPO時には、同じく香港市場に上場した MiniMax Groupをはじめとする中国AI企業との熾烈な競争にも直面していた。
しかし、Zhipuは、ファーウェイやCambricon Technologiesなどの中国メーカー製のチップへの移行を進め、世界トップクラスの性能を持つAIモデルの開発に成功した。今年2月には、高度な推論やコード生成などの機能を備えた「GLM-5」を発表した。同社によれば、その性能はアンソロピックが昨年11月にリリースした「Claude Opus 4.5」に匹敵するという。
マッコーリー・キャピタルが5月に発表した調査レポートによると、4月にリリースされた最新モデル「GLM-5.1」は、応答速度において劇的な進歩を遂げたという。こうした改善は、AIエージェント時代において極めて重要な意味を持つ。デジタルアシスタントは、ウェブサイトの構築や事業提案書の作成といった複雑なタスクを実行する過程で、より頻繁にモデルにアクセスする必要がある。各ステップで生じる遅延が積み重なれば、全体的なパフォーマンスが著しく低下する。



