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2026.06.10 13:15

実は発達障害の人向けの働く環境整備が、多くの社員に役立つ理由【隠れた知性を解き放て ♯3】

siraanamwong / Getty Images

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人材不足が深刻化する日本において、発達障害がある人は貴重な戦力になり得る。しかし実際には、活躍が上手く進まない現状がある。

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脳や神経の違いによる発達特性を社会で生かす、「ニューロダイバーシティ」についての連載。第三回の本稿では、企業がニューロダイバーシティを実現するために、どのように環境を整備すればいいのかを解説。さらに、それによる意外なメリットについても紹介したい。

 「開示を阻む壁」━━6割が発達障害を隠して働く

 第二回で書いた通り、発達特性が強い人は、不得意なことを強いられる環境下では、得意なことさえできなくなってしまう。非常に多くのエネルギーが必要になるからだ。

例えばASD(自閉スペクトラム症)の特性のひとつに、聴覚過敏がある。複数の人が働くオフィスでは、人の話し声に加え、電話の音やプリンターの稼働音などといった環境音が混在する。そうした中でも定型発達の人は、カクテルパーティー効果という脳の働きにより、自然と自分に必要な音を聞き取れるようになっている。しかし、ASD特性がある人の中には同効果が働きにくく、すべての音が同じボリュームで聞こえてしまう場合がある。

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結果、脳が情報過多の状況に陥り、ASDの人は業務に必要な音声を聞き取れないばかりか、定型発達の人との間に生じた情報格差によって、焦りや不安を募らせていく。そして、大きなストレスや疲労を感じてしまうのだ。

では、障害を開示して周囲から配慮を得ればいいだろう、と考える人もいるかもしれない。しかし、事はそう単純ではない。

障害関連の調査・研究を行う障害者職業総合センターが行った、発達障害がある求職者に対する調査では、前職で就職から退職までの間に障害を開示しなかった人の割合は約6割(58.8%、n=262)に上る。その理由として、「障害があることを知られたくなかったから」や「障害を開示すると賃金等の条件が悪くなると思ったから」「採用を継続されないと思ったから」が挙げられている。

また、同調査では発達障害がある人が前職を離職した理由として、「障害・病気」と答えた人の割合が、4割を超えている(40.7%、複数回答)。

日本では障害者雇用促進法において、採用・賃金・配置・昇進など、発達障害を含む障害を理由とした雇用に関する差別を禁止している。また、2021年には障害者差別解消法が改正され、2024年4月には障害がある人が平等に労働に参加できるよう、物理面やコミュニケーション、制度面のハードルを取り除く「合理的配慮」の提供を事業者に義務づけている。

しかし同調査結果にあるように、日本では依然として、発達障害を開示する上での安心・安全が保たれていない。発達障害がある人の多くが、開示によって不利益を被ることを恐れ、障害を隠したまま働かざるを得ない環境がある。その結果、周囲から配慮を得られず、離職につながっている悪循環があるのだ。

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