AIの経済性が崩れ始めている。大手テクノロジー企業、スタートアップ、AIモデル提供企業の間で、生成AIシステムを動かすコストが、それによって得られる収益を上回るペースで膨らんでいることが明らかになりつつある。この逆転現象を受けて、予算削減や社内ツールの利用制限が始まり、かつてこの技術を積極的に後押ししていた経営幹部からも警告が出ている。この傾向が続けば、この分野で急増している設備投資が、利益率や企業価値の重荷になりかねない。
10年以上にわたり、AIが膨大な数の労働者に取って代わるという考えは、期待と不安の両方をあおってきた。そして、テクノロジー業界全体で巨額の投資を正当化する材料にもなってきた。しかし、いま数字が示しているのは別の現実である。どれほど魅力的な物語であっても、採算が合わなければならない。だが、その前提はますます揺らいでおり、現在のAIブームを支える想定が持ちこたえられるのかが問われている。
AIコストが期待先行の物語を追い越し始めた
ソフトウェアに組み込まれてきた従来のAI技術とは別に、基盤となる生成AI技術を開発している企業の間では、自ら売り込んでいる生成AIを使うコストが予想以上に高いことがわかり始めている。
Axios(アクシオス)のAI担当シニア記者、マディソン・ミルズは先月CNNで、企業がこの技術にどれほど支出しているかについて話を聞く機会が増えていると語った。人間の従業員を抱え続けるほうが、むしろ経済的な場合もあるという。
この動きについて問われたミルズは、こう述べた。「まさにそれが、特に大手テクノロジー企業で見え始めていることです。最初にこの点を指摘してくれたのは、エヌビディアのある副社長でした。その人は『ええ、そうです。ここ数カ月、私のチームでは、人よりAIにかかるコストのほうが高くなっています』と言っていました。それが最初の警告でした。その後、同じような話が次々に出てくるようになりました」。ミルズはAxiosの記事で、このエヌビディアの副社長が、応用ディープラーニング担当副社長のブライアン・カタンザロだとしている。
報道によれば、Uberの最高技術責任者(CTO)は、2026年の予算を第2四半期の初めまでにAI関連コストだけで使い切ったという。「当然ながら、それは人間の従業員に使うよりも多くの費用をAIに使っているということです」とミルズは述べた。さらに彼女は、スタートアップ創業者の中には、高額なAI利用料を「AI競争で本当に先行している」証しとして誇る人もいると付け加えた。例として挙げられたのはSwan AIの創業者、アモス・バー=ジョセフで、同氏はLinkedInに、4人のチームで1カ月のAI請求額が11万3000ドル(約1800万円)に達したと書き込んでいる。
つまり、エヌビディアもUberも、膨らむ費用に気づいている。テクノロジーへの高額な支出を成功の勲章と考える創業者たちの姿は、ドットコム時代を思い起こさせる。当時は、経験の浅い経営者たちがビジネスの基本を軽視し、利益はもはや重要ではないと主張する者さえ多かった。手元資金の消耗を無視して高い支出ペースを誇る姿は、過去とまったく同じではないにせよ、歴史の繰り返しを強く思わせる。



