今年も暑くなりそうだ。今から熱中症対策を考えておかなければならない。さすがにこれだけ猛暑の夏が続けば、適切な熱中症対策に無関心ではいられない。だがひとつ、見落とされがちな対策がある。それは「朝ご飯」だ。
大正製薬は、全国の工場や建設現場などの暑熱環境で働く20~60代の263人を対象に、熱中症対策に関する調査を実施した。そのなかで「熱中症対策でこころがけていること」を尋ねると、もっとも多かったのが「こまめに水分補給をする」だった。次いで「エアコン・扇風機を利用する」、「十分な睡眠を取る」、「食事をしっかりとる」(3食)、「のどが渇く前に飲むようにしている」などと続く。なるほど、熱中症への意識の高さが感じられる。

1日3食をしっかり食べるという対策が4位に入っているが、とくに気をつけたいのが朝ご飯だ。今回の調査に参加した263人の約半数にあたる133人は「朝食を欠食する日がある」と答え、そのうちの3割強(47人)が医療機関で熱中症と診断された、また熱中症と思われる症状を感じた経験を持つ。その割合は、毎日かならず朝食を食べる人(29人)の約1.6倍だ。

熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院患者支援センター長/栄養部担当部長の谷口英喜医師は、朝食を抜くと、軽度の脱水とエネルギー不足の状態で1日をスタートすることになると警告している。暑熱環境で作業を行えば急速に水分と電解質が失われ、体内バランスが崩れる。
すると体温調節がうまくいかず、体内に熱がこもって熱中症リスクが高まる。また、血液循環が低下し、脳や筋肉への酸素や糖分の供給が不足して、集中力や判断力が低下し、動作が鈍り、事故リスクが高まるという。谷口医師は、以下の熱中症対策を推奨している。
朝のカロリー摂取が重要
気温が上昇する午前中に備えて、しっかりと水分と栄養を取っておくことが大切だ。朝食は、身体を「活動モード」に切り替えるスイッチでもあるという。朝食により体温が上昇して代謝が活性化する。それにより発汗機能や循環機能が正常に働くようになり、暑さへの耐性が高まる。
熱中症対策として理想的な朝食のメニューだが、摂取したい栄養素は、水分(体液バランスの維持)、塩分(発汗で失われる電解質を補う)、糖分(エネルギー源)、ビタミンB群(エネルギー代謝をサポート)、アルギニン(血液改善と疲労回復)、クエン酸(疲労軽減と代謝促進)だ。
お薦めは、わかめ、あさり、しじみ、豆腐などの味噌汁。水分、電解質、ミネラル、カリウムなどが同時に摂取できる。焼き魚、納豆、卵を組み合わせるとビタミンB群も補える。
朝食が摂れない人はゼリータイプ飲料
朝食を摂る時間がないという人には、ゼリータイプ飲料がお薦め。とくにナトリウムが適切に含まれているものを選ぶこと(100ミリリットルあたり40〜80ミリグラム)。ナトリウムは薄すぎても濃すぎてもいけない。糖質も欠かせない。さらに、ビタミンB群、アミノ酸が含まれていればなおいい。

アイススラリーというシャーベット状のゼリータイプ飲料もある。暑熱環境での作業に入る前に、あらかじめ体温を下げておく「プレクーリング」に効果的だ。とは言え、朝食を食べることが基本であることはお忘れなく。
水分補給は「6オンス8回法」で
効果的な水分補給方法に、1日8回に分けて補給する「6オンス8回法」がある。6オンス(約180ミリリットル)の水を、起床直後、朝食時、午前10時、昼食時、午後3時、夕食時、入浴後、就寝前のタイミングで飲むというものだ。こうすることで、食事を合わせて1.5〜2リットルの水を効率よく体内に取り込める。朝食を抜くと、このタイミングが崩れるので、やっぱり朝食はしっかり摂っておきたい。



