AirbnbのCEOブライアン・チェスキーは米国時間5月20日、同社が中国の人工知能(AI)モデルを利用していることを擁護した。チェスキーは、中国企業による米国データへのアクセスを懸念する米議員が、技術を「誤解している」と述べた。
AirbnbのCEO、中国企業へのデータ提供はないと明言
チェスキーはBloomberg TVのインタビューで、Airbnbはアリババや他の中国企業の顧客ではないと明言した。「我々はどの中国企業にもデータを提供していない。彼らはいかなるデータにもアクセスできない」と、それに先立つBloomberg Newsのの取材でもコメントしている。
Airbnbは、顧客対応チャットボットにアリババの大規模言語モデル「Qwen」を使用している。これをめぐる米下院の調査に対し、チェスキーが公の場で回答したのはこれが初めてだった。
「我々が主に使っているのは、米国のオープンソースモデルを含む、多様なオープンソースモデルだ。オープンソースモデルはデータにアクセスできない。そういう仕組みではない。人々はこの手のものがどう動くのか理解する必要があると思う」。
(※編注:本稿でいう「オープンソースモデル」は、Open Source Initiativeが定義しているオープンソースAIと異なる。オープンウェイトモデルを指している模様)
米下院2委員会、安全保障上の懸念からAirbnbの中国製AI利用を調査
こうした発言が出た背景には、AIの主導権をめぐる米中の競争が激化している現状がある。
4月下旬、米下院の中国特別委員会と国土安全保障委員会はAirbnbに書簡を送り、中国製AIモデルの利用について説明を求めた。両委員会は、中国が「米国のイノベーションを搾取してAI能力を加速させる」キャンペーンを行っているとみており、書簡の送付はその調査の一環だとしている。
両委員会の委員長は、チェスキーが2025年10月にBloombergのインタビューで、状況によっては「速くて安い」Qwenを好むと語った点を引き合いに出した。両委員会はその発言を引用し、こうした方針はAirbnbの「米国の顧客」や「同社システムの完全性」にとって、「国家安全保障およびデータセキュリティ上の含意」上の「深刻な懸念」をはらむと指摘した。
委員会委員長のジョン・ムーレナーはSemaforに対し、「これらの企業が使うAIモデルは中国の検閲体制の下で訓練されており、米国人のデータと事業をリスクにさらす隠れた脆弱性を持ち込む」と語った。書簡はさらに踏み込み、アリババのQwenはイデオロギー的な条件付けを義務づけられており、それが構造的な脆弱性をもたらすと主張している。チェスキーはこれを否定している。
米上院の超党派議員、同盟国の米国技術調達を効率化する法案を提出
シリコンバレーの実利主義と、国家安全保障を重んじるワシントンの本能との間には緊張関係がある。こうした展開は、その緊張をめぐる、興味深く、ますます込み入った議論に拍車をかけている。
圧力の直接的な兆候も5月19日に表れた。ジーン・シャヒーン上院議員とピート・リケッツ上院議員が、同盟国政府による米国のサイバー・デジタル技術の調達を効率化する超党派法案「U.S. Tech PATH Act」を提出した(編注:「米国技術調達・信頼できるハードウェアへのアクセス法案」を指す。U.S. Technology Procurement and Access to Trusted Hardware Actの略称)。同法案本文が述べるところでは、外国のパートナーが「低コスト」を理由に「中国のような戦略的競争相手」へと、サイバーおよびデジタル技術の調達先を「ますます」向けていることへの対抗策だという。
成立すれば、国務省主導の技術調達オフィスが設置され、プログラムの資金として今後5年間で5億ドル(約795億円。1ドル=159円換算)の拠出が認められる。
「中国との競争は、将来の技術を開発し、パートナーに普及させる能力が中心だ」とシャヒーンは語った。「この法案は世界にメッセージを送る。米国は技術で競争し、より良い条件を提示できるのだ」。



