アジア

2026.05.26 07:30

インドネシアの通貨急落が象徴するアジアの危うい現状

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インドネシアが世界経済の注目の的になることは、ここ数十年ほとんどなかった。しかし通貨の急落によって、インドネシアは激動の2026年の中心地へと押し出されつつある。

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今年に入ってルピアは6.2%下落し、1998年以来の安値をつけた。もちろん、これ自体が世界経済にシステミックリスクをもたらすわけではない。問題なのは、米国・イスラエルとイランの交戦による余波が強まるなか、1.5兆ドル(約238兆円)規模のインドネシア経済が、危機にさらされる新興諸国の先頭に立たされていることだ。

インドではルピーが史上最安値を試している。フィリピン・ペソも同様だ。韓国では李在明(イ・ジェミョン)大統領が、ほとんど誰も予想していなかったような「2画面分割」的な現実に直面している。一方の画面では、韓国総合株価指数(KOSPI)が年初来86%高という急騰を演じている。しかし、もう一方の画面を見ると、韓国ウォンは年初来約5%安に沈んでいるのだ。

韓国株の急上昇は、主に人工知能(AI)をめぐる熱狂によるものだ。株高を牽引するサムスン電子やSKハイニックスは、この“ニューエコノミー”テクノロジーを支えるメモリーチップを製造している。こうした熱狂が「韓国株式会社」をつくり変えていく一方で、その足もとにある韓国の“オールドエコノミー”はまだ表舞台に立つ準備が整っていないように見える。韓国からの資本流出は、中東で続く地政学的緊張を反映している。投資家は安全資産を求めて、アジア諸国よりも米国などでより高い利回りを追っているのだ。

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こうした状況を受けてインドネシア銀行(中央銀行)は先週、断固たる姿勢を示した。市場予想を上回る0.5ポイントの利上げに踏み切り、政策金利を5.25%まで引き上げた。0.5ポイントの利上げは2022年以来であり、ルピアを下支えする狙いがあったのは明白だ。ルピアは最近、1ドル=約1万7600ルピア前後と対ドルでおよそ28年ぶりの安値をつけていた。市場を驚かせた大幅利上げは、ペリー・ワルジヨ総裁率いるインドネシア中銀チームが、自国の通貨が制御不能に陥るのを懸念していることをうかがわせる新たな動きだった。

ルピア相場を安定させるため、インドネシア当局はこれまで為替介入を行ってきた。それが一因で外貨準備高は年初来100億ドル(約1兆5900億円)減っている。また、インドネシア財務省は債券市場を落ち着かせ、資本流出に歯止めをかけるべく、この1週間ほど国債を1日2兆ルピア(約180億円)のペースで買い入れている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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