高市早苗首相と李在明韓国大統領が19日、韓国南東部の安東で首脳会談を行った。李氏が今年1月に高市氏の地元の奈良を訪れたのに続き、高市氏も李氏の故郷を訪問。韓国側は国賓級の扱いでもてなした。「成果よりも雰囲気作りを重視した」(日韓関係筋)という。別の関係筋は「両首脳が当たり前のように会談を繰り返す流れを作ったのは大きい」と指摘する。
日本側は最近、日韓の物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に力を入れている。ウクライナ戦争で、武器弾薬の補給の重要性が改めて浮き彫りになっているからだ。4月に訪韓して李氏と会談した石破茂前首相も、シンポジウムでACSA締結が「喫緊の課題」と訴えた。
ただ、韓国側には今なお根強い世論の反発がある。19日の日韓首脳会談も「日韓、日韓米の安全保障協力を含む戦略的な連携の重要性について一致」(外務省)など、やや抽象的な表現にとどまった。日韓関係筋の1人は「継続的に協議を続けることが重要。繰り返し、ACSAの重要性を訴えていけば、韓国世論も徐々に理解してくれるはずだ」と語る。 「対話の継続」という意味では、少なくない成果を上げたと言える。
一方、今回の会談は6月3日に投開票を迎える韓国統一地方・補欠選の直前に開かれた。一部で「李氏が進歩系与党に有利になるよう、統一地方選の直前に会談を開いたのではないか」という指摘も出た。確かに、日本側は政務が多忙になることも考慮し、統一地方選後の高市氏の訪韓も考えていたという。ただ、複数の関係筋は「まったくそんなことはない」と否定する。関係筋の一人は「李大統領は全く統一地方・補欠選について心配していない。19日になったのは、日本の国会日程との調整の結果に過ぎない」と語る。
確かに、韓国メディアなどが伝える統一地方・補欠選挙の情勢は、進歩系与党「共に民主党」が優勢だ。世論調査会社、韓国ギャラップが19日から21日まで実施した世論調査によれば、支持率は共に民主党が45%、保守系の最大野党「国民の力」が22%と大差がついている。最大の焦点のソウル市長選挙こそ、共に民主党の新顔、鄭愿伍氏を、現職で国民の力の呉世勲氏が追い上げているが、保守の金城湯池であるTK(大邱・慶尚北道)の中心地、大邱市長選では国民の力候補の劣勢も伝えられている。



