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2026.05.23 09:01

インディアンウイスキーはなぜスコッチと違うのか──5つの視点から解説

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世界で最も売れているウイスキーがスコッチでもバーボンでもないと知れば、驚く人もいるだろう。実は、販売量ベースで世界一のウイスキーはインド国内向けのインディアンウイスキーである。しかもインディアンウイスキーは1位にとどまらず、2位と3位も占めており、いずれもジョニーウォーカーを上回る。だが、この大きな成果とカテゴリー自体は、しばしば過小評価される。とりわけ「インディアンウイスキーはそもそもウイスキーではない」と言う人々によってである。

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大量市場を押さえる従来型のインディアンウイスキーは、穀物ではなく糖蜜を原料に造られることが多い。そのため、世界の他地域であれば技術的にはウイスキーに分類されない場合がある。しかし、スコッチやバーボンの市場が提供する幅広さから見れば、最も売れるジョニーウォーカー・レッドやジャックダニエル オールドNo.7が全体のごく一部にすぎないのと同様に、マクドウェルズNo.1、ロイヤルスタッグ、インペリアルブルーといった巨大ブランドも、インディアンウイスキーの一部にすぎない。

インディアンシングルモルトは世界的に存在感を増し、受賞を重ね、新たな伝統をもたらしながら、このカテゴリーを探求する飲み手を惹きつけている。インディアンシングルモルトが初めてなら、導入としてスコッチとの違いを5つ挙げておこう。

1. インディアンウイスキーはすべてが穀物原料ではない

まず、インディアンウイスキーは自分には合わないと言う国際的なウイスキーファンが、真っ先に持ち出しがちな最大の論点から始めよう。何から造られているか、という点である。

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確かに、インディアンウイスキーの一部は穀物ではなく発酵させた糖蜜を用いて造られる。だがインディアンシングルモルトは活況のカテゴリーであり、単一のモルト大麦や穀物のみを原料とする受賞ウイスキーも次々に登場している。

このカテゴリー全体を切り捨てるのは、シングルグレーンが好みでないからといってシングルモルトを無視するのと同じだ。あるいはその逆である。

「インディアンウイスキーに関する最大の誤解の1つは、インドが真にプレミアムなウイスキーを生産したことがなく、大半が安価で、糖蜜やエクストラ・ニュートラル・アルコール(ENA)から造られ、本物らしさに欠けるというものだ」インドリのマスターブレンダー、スリンダー・クマールはメール取材でそう説明する。

さらにクマールは「その認識は、歴史的にカテゴリーの相当部分によって形作られてきたのかもしれない。しかし、今日のインディアンウイスキー、特にインディアンシングルモルトの台頭という進化を反映していない」と付け加える。

糖蜜ベースのインディアンウイスキーが、数量ベースでインド市場を席巻しているのは事実だ。オフィサーズ・チョイスやロイヤルスタッグのようなブランドを選べば、甘みがあり、軽やかで、親しみやすいクラシックなインディアン「ウイスキー」が手に入る。軽く甘いスタイルは、ウイスキー初心者や探求を始めたばかりの層には適しているかもしれない。だが、それだけがインディアンウイスキーのスタイルではない。

インディアンシングルモルトは活気あるカテゴリーであり、探してみれば、穀物や大麦を原料とするウイスキーが、幅広い香味とスタイルのスペクトラムで見つかるはずだ。

インドリ、アムルット、ポール・ジョン、ジャンチャンドといった銘柄は、糖蜜とは無縁のインディアンシングルモルトで境界を押し広げ、国際的な賞を獲得している。

2. インディアンウイスキーには異なる規制がある

インディアンウイスキーがスコッチと異なるもう1つの点は規制である。インディアンウイスキーにもルールはある。表示の方法、熟成のあり方などだ。そしてスコッチより緩やかではあるが、それを否定的に捉えるべきではない。

近道のためではなく、規制の柔軟性が、インドで造られ熟成されるウイスキーにとって何が有効かを生産者が試せる余地を与えている。

デヴァンズ・モダン・ブルワリーズの会長兼マネージングディレクターで、受賞歴のあるジャンチャンド・インディアンシングルモルトウイスキーを手がけるプレム・デワンはメール取材で「温暖な気候ではモルトスピリッツの熟成がはるかに速く進み、インディアンシングルモルトはスコットランドのライバルに対して大きな優位性を得ている」と説明する。

さらに「2年物のインディアンシングルモルトは、約10年物のスコッチモルトに相当する」と付け加えた。

熟成が速いということは、若い熟成年数でもより複雑なウイスキーになり得るということであり、時間が短いほどコストも下がる。結果として消費者にとってもコストパフォーマンスの高いウイスキーになり得る。

木材の種類に関する実験も、インドの蒸留所が探求できる領域の一例だ。ゴダワン02はチェリー材の樽でフィニッシュされている。これはスコッチの生産者には不可能な木材だが、国際的にも評価の高いウイスキーを生み出した。

とはいえ、インディアン・モルト・ウイスキー協会は加盟企業に対し、より厳格な任意基準を求める動きを進めている。また、インディアンシングルモルトのGI(地理的表示)取得にも取り組んでいる。ただ重要なのは、インドはスコットランドではないという事実である。規制が異なるからといって、より劣るウイスキーという意味ではない。受賞がそれを証明している。

3. スコッチというよりバーボンに近い

インディアンウイスキーの熟成環境が、スコッチとどれほど違うのかは強調してもしきれない。

スコットランドの冷涼で湿潤な気候は、極端な暑さや寒さに振れにくい。穏やかな気温変動がゆっくりとした熟成に理想的な環境をつくり、スコッチは香味と複雑さを育てるために時間を必要とする。

これに対し、インドでの熟成はまったく異なる。クマールはこう説明する。「暑い夏には気温が50°Cに達することがあり、冬には氷点近くまで下がることもある」

より極端な温度変化は、熟成に多層的な影響を及ぼす。木材の膨張と収縮が増し、長い暖季にはウイスキーが総じてより活発に相互作用する環境に置かれる。

その結果、「一定して冷涼な気候よりもはるかに速い速度で色、香味、骨格を抽出する。熟成サイクルが短いことで、より豊かなテクスチャー、より大胆なフレーバー、そしてより深い個性が私たちのウイスキーに生まれる」というプロセスになる。

クマールが具体的に言及しているのはインドリだが、インドは広大で多様な気候を抱える国とはいえ、どこを見てもスコットランドより極端だと言って差し支えない。これが、より能動的な熟成をもたらし、短い時間で複雑な風味を生む。

熟成環境の観点からは、インディアンシングルモルトはスコッチよりもバーボンと比較するほうが適切だろう。そしてインディアンウイスキーと同様、バーボンには最低熟成期間の定めがない。

「ストレート・バーボン」は少なくとも2年の熟成が必要で、「ボトルド・イン・ボンド・バーボン」は少なくとも4年の熟成が求められる。しかし、その柔軟性が、生産者に各リリースで適切なバランスをつくる余地を与えている。

4. スコッチにもバーボンにもなろうとしていない

「よくある誤解は、インディアンウイスキーがいまだに伝統的なウイスキースタイルを模倣しようとしている、というものだ。しかし現実には、このカテゴリーはすでにその段階を大きく超えている」サウス・シーズ・ディスティラリーズ&ブルワリーズ社のディレクターで、クレイジー・コック・インディアンシングルモルトの創り手でもあるルピ・チノイはメール取材でそう語る。

さらに「蒸留家はいま、気候、原料、熟成のパターンなど、地域の条件によって形づくられる特性の表現に注力している。その結果、明確なアイデンティティを持つウイスキーが発展してきた」と付け加えた。

蒸留所は、スコッチを模すために大麦や穀物を使っているのではない。インドで栽培され、蒸留され、熟成されるシングルモルトにとって最適な大麦を選んでいるのである。インドリなどが用いる六条大麦から、ジャンチャンドが用いるヒマラヤ産大麦まで多様だ。

クマールはインドリにおける大麦選択についてこう説明する。「タンパク質含有量が高く、でんぷん量が相対的に低い六条大麦は、より力強く、穀物感が前面に出て、テクスチャーのあるスピリッツを生み得る一方、抽出効率や精製の面で課題も生じうる」

5. インディアンシングルモルトに受賞が相次いでいる

検索トレンドやキーワードのパターンを見ると、インディアンウイスキーへの関心が高まっており、関連検索の一部は月間平均の約82%増で推移している。

この国際的な検索増の一因は、世界のスピリッツ分野で最も権威ある賞のいくつかで、インディアンウイスキーが獲得する受賞数が増えていることにあるかもしれない。

インドリの「ディワリ・コレクターズ・エディション2025(マルサラ・カスク・フィニッシュ)」は、World Whiskies Awards 2026で複数の賞を獲得したほか、2025 Las Vegas Global Spirits Awardsでは99.1/100というスコアで「Best World Whisky」を受賞した。これは記録されたスコアの中でも屈指の高得点であり、インディアンウイスキーが国内カテゴリー内で勝っているだけではなく、世界の競争相手に正面から挑んでいることを示している。

インディアンウイスキーはもはや「価格の割に良い」や「インディアンウイスキーとしては良い」にとどまらず、国際舞台で他のウイスキーやスピリッツに挑んでいる。カテゴリーの可能性を押し広げる蒸留所も複数存在する。

ジャンチャンド・アダンバラー、ポール・ジョン・ポート・セレクト・カスク、All Seasons Sir E Taj 21 Year Old、インドリ Founder's Reserve 11 Year Old、サンガム・ワールド・モルト・ウイスキーは、この12カ月に国際的な賞を獲得したインディアンウイスキー(モルトおよびグレーン)の一部にすぎない。

「最終的に私たちの目標は、世界で称賛されるウイスキーをつくりながら、将来世代のインディアンウイスキーメーカーに刺激を与え、卓越の遺産を築くことだ」クマールはそう総括する。

実に刺激的で、多様性に富んだカテゴリーである。シングルモルト・スコッチであれ、ブレンデッドであれ、バーボンであれ、ウイスキーが好きなら、楽しめるインディアンウイスキーはきっと見つかるはずだ。ぜひ探求してみてほしい。

forbes.com 原文

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